客席の並べ方をシミュレーションした【芝居犬 夢十夜002】
こんなツイートを見た。
「舞台の観やすさを考えれば座席の千鳥配列はマスト。(略)劇場の心意気をチェックする大きなポイントだなぁ、と。」
このツイートのコメなどには、しかし劇場の収益性と合わせて考えるべきでは?という話が続いている。
しかし、建築的に言えば千鳥配列は必ずしも見やすさを担保するものではない、と聞いたことがある。たとえばfringe「見切れを起こさない」によれば4列目以降は千鳥配列じゃない方が良いとしている。
しかし、fringeの記事にある見えのイメージ画像は若干わかりにくく、恣意的にも見えないこともない。
なので、今回はしばいいぬが実際にシミュレーションしてみた。
【検証すること】千鳥配列と並行配列はどちらが見やすいのか?
【fringeの画像の問題点】
座席からの見えが矢印で書かれているため、実際にはどこが見えてどこが見えないのかが不明確である。(下の2画像はfringeからの転載)
【条件】視野角を約90度として、実際に見える範囲を描画する。
座席は水平で、前にいる頭によって視線を遮られることとした。
座席の列間隔は、客席を折り畳み可能と考え、600mmとした。
【シミュレーション結果】下の画像がシミュレーション結果である。
← 並行配列 千鳥配列 →
【考察】
前方の観やすさは、4列目以降は並行配列の方が有利である。
3列目の前方の見えはほぼ同じであるが、2列目からは圧倒的に千鳥配置の方が見やすい。
一方で、斜方の観やすさはすべての列で千鳥配置が有利である。最終的な画角面積は、千鳥配置がの方が有利になる。
【結論】
配置は、劇場の舞台の幅によって選ぶべきである。
舞台の横幅が広い劇場の場合は、千鳥配置にしても観やすさについて問題は少ない。
一方で舞台の幅の短い劇場は千鳥配置にしてしまうと前がほとんど見えなくなってしまうので、長く並べる場合は並列にすべきである。
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