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琥珀糖(泣村健太)

 香澄は閉じていた瞳をゆっくりと開いた。目の前には、よく見知った顔が不安そうにこちらの様子を伺っている。
「どうかな? 気分は?」
 将真の眉間の皺が、今日は一段と濃い。苦悩に満ちたその顔をぼんやりと見つめながら、香澄はふと、三年に及んだ彼との結婚生活の日々を思い返していた。
 将真が香澄に飲ませた、惚れ薬の効果が切れた夜の話である。

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