「美術館のもつ社会包摂の役割」2021年5月8日の日記
・今日は東京都美術館のアート・コミュニケータの基礎講座の日。早いもので4月に始まった基礎講座ももう3回目になる。前回は会場で実施できたけれど、今回は非常事態宣言によりオンラインでの開催となった。
・第3回目の今回のテーマは、「ミュージアムとウェルビーイング」。都美館のアート・コミュニケータの活動は、都美館と東京藝大の連携プロジェクト「とびらプロジェクト」の中の活動のひとつなのだけど、「とびらプロジェクト」発足以来10年間の過去の取り組みを振り返ったり、他館の取り組みを例に挙げたりして、美術館にとってのウェルビーイングとは何か、わたしたちにとってのウェルビーイングとは何か?を考えた。
・公式に公開されている「とびらプロジェクト」、またアート・コミュニケータの基礎講座における活動はこちらから。(日記では当然ながら、とびらプロジェクトが公に公開している情報以上の詳細は書きません)
・10:00~15:00までというスケジュールで半日じっくり取り組んだ。オンラインでの講座自体は会社の研修で経験があったので、特にオンラインで実施することに対する違和感は無かった。
・前回、第2回の基礎講座は「きく力を身につける」というテーマで、わたしと同じ10期のアート・コミュニケータのみなさん約50名と、2~4人ずつでコミュニケーションをたくさん重ねながら取り組んでいったのに対して、今回は講義形式の講座だった。
・藝大の美術学部の学部長を務められている日比野克彦先生のお話や、アーツカウンシル東京のディレクターを務められている森司先生のお話を伺って、ウェルビーイングを実現するためにミュージアムやアーティストたちがこれまで取り組んできた活動、現在取り組んでいる活動、そしてこれからの展望の一部をうかがい知ることができて興味深かった。
・わたしたちが都美館のアート・コミュニケータとして今後3年間活動していく中で、その活動のヒントになるお話も多く伺うことができた。
・上記リンクにあるとおり、都美館と藝大はこの取り組みを通じて、美術館を拠点にコミュニティを育むことを目標のひとつにしている。
・わたしは美術館へ作品を鑑賞しに行くという行為それ自体が、社会参加のひとつの形として認められると思う。例えば作品を観て、良いなと思ったら、その思いを言葉にしたり(可能であれば)写真に残したりして、他の誰かにシェアするという行為。対人のコミュニケーション、あるいはどこかにだれかに向けてnoteやブログに書いたネット上の文章であれ、コミュニケーションを通じた取り組みは、立派な社会参加のひとつの形だと思う。
・美術館は、老若男女、障がいの有無や国籍、美術作品への知識の有無に関係なく、すべての人々に平等に開かれている。少なくとも、そうなるよう取り組んでいる。
・美術館のもつこの「社会包摂」の役割は、「社会への参加」あるいは「社会復帰」という、時に個人と社会との繋がりの「壁」の意味合いとして使われるこの言葉の高さを、下げることができるのではないか。
・敷居が高いと思われがちの美術館・博物館という施設が、逆に社会参加の壁を下げることのできる可能性を模索していきたいな。
・「デッドロック」になった手牌。
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