黒柴的パンセ #52

黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #37

ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく。

「それだけじゃないと思いますけどね」
これは、黒柴のボスであるグループマネージャの口癖だ。
この話は、パンセ#9、#10で語った、「地頭力」の「抽象化思考力」に関連している内容である。

ずっと言い続けていることだが、自社は経営層が経営のビジョン(この会社をどうやって成長させていくか)を示せていないので、十数年にわたって現状維持の状態が続いている。
黒柴のボスとは四半期ごとに1on1で面接をしているのだが、ありがちの目標管理などもやっていないので、単に1時間ほど雑談している。
その雑談の中で、上記したように自社の課題について意見交換をすることが多い。

そのときは、「自社の社員構成と中堅以上の退職者」についてであった。
現状、自社は創業時のメンバーのうち、この先会社の中核を担うような中堅・ベテラン層がほとんど退職してしまった。
そのため、若手への指導も上手くいかず、せっかく採用した新卒も大半が退職している。
現状だと、黒柴のグループには9名のメンバーが在籍しているが、若手に指導ができるようなベテランは、ボスを除けば黒柴のみである。

中堅・ベテランの退職の原因として何があるのか?どうすれば中堅・ベテランの退職者を減らすことができるのか?ということをボスと雑談していた。
黒柴は、パンセ#15で書いたように、「経営層がビジョンを示せていないので、自社、およびそれに伴う自分自身の将来に不安を抱いた者から転職している」と考えている。
端的に言うと、「自身の所得が増える将来が見えないから」転職を決意するのだと思っている。
そんなことを言うとボスは「(退職理由は)それだけじゃないと思いますけどね」と言ってくるのだ。

確かに退職理由は、個別にいろいろとあるとは思う。黒柴もそれは分かっている。過去には熊本出身だった中堅が、熊本地震で実家の家業(自営業だった)を手伝うという理由で退職していったこともあった。
また、現場のベテランが退職してしまったことにより、不安を覚えた中堅がそれに引きずられるように退職したこともあった。
一人一人の詳細を考慮すれば、退職者の数だけ理由はある。
だけど、今は課題を解決するために、それぞれの課題を抽象化して、その課題の根本に迫りたいのだ。

ボスがなぜこのようなことを言うのかは、正直よくわからない。
そこにも、「自分は、この問題をよくわかっているのだ」と知識をひけらかしたいとか、「この課題はあまり深掘りしたくない」と課題を忌避しているとか、いろいろと理由があると思う。
ただ、せっかく課題を抽象化しようとしているのに、それをディテールに引き戻そうとする発言には、正直なところ「がっかり」する。

まあ、黒柴自身はボスがそういう口癖があるということを把握しているから、「またか・・・(苦笑」で済ませることができる。
しかし、他のグループメンバーとの1on1でも同じことをしているのだとしたら、「話の腰を折られた」と感じることもあるのではないか?
諸兄らの会社に、こんな上司はいないだろうか?


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