黒柴的パンセ #50

黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #35

ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく。

「営業担当が、話しやすい人としか話しをしない」
これは、常駐先で作業している社員が、その社員を担当する営業担当の動きについて、自身の上長に報告した言葉である。

この営業担当は、黒柴もある程度知っているが、正直なところ「営業職」というものが、きちんと理解できていないと思う。
パンセ#29で述べたように、営業とは「自社の商材を顧客に紹介して、契約を取り付ける」という職種だと思っている。
そのためには、自社の「目であり、耳であり、口である」という、多方面からの情報収集や、情報発信を行っていくことが重要である。

この営業は、自社に採用される前までは、特に営業職としての経験はなく、どういう経緯で自社が採用したのかは不明だが、入社してから営業職としてのキャリアを積んでいくことになった。
そのため、自社の営業部門のマネージャから、「営業職とは?」ということについてレクチャーを受けることとなった。

過去のパンセで自社の営業について、いろいろと小言を書いているが、そんな感じの営業部門なので、「営業」というよりも「営業事務」として育成されてしまったという感じになった。
しかも、ときたま客先からの連絡を社内に展開することすら忘れてしまうという、「営業事務」としても「それってどうなの?」という体たらくである。

そもそも営業部門のマネージャからして、コミュニケーションが苦手なのだ。年度初頭に実施される事業計画の全社展開においても、「過去に付き合いのあった顧客を再度掘り起こす」と繰り返すばかりで、「こういう分野の新規顧客を開拓する」などという報告は聞いたことがない。

また、数年前に自社がちょっとしたイベントを催して、取引先の要職の方々を招待することがあった。
黒柴の上長であるグループのマネージャから、黒柴が過去に担当したプロジェクトの取引先などが網羅されているかを確認してくださいと、営業担当や各グループのマネージャがピックアップした名簿をもらった。
その名簿に記載されたピックアップされた人を見て、すごく違和感を覚えた人がいた。

その方は、過去に黒柴がプロジェクトリーダーをやったプロジェクトにおいて、発注元だったSIer側のリーダーだった人である。黒柴と趣味(ロードバイク)が同じだったこともあり、そのプロジェクトが終了した後も、公私で付き合いのあった。
ただ、黒柴のいわゆる「カウンターパートナー」という立ち位置であり、自社に発注を行うためにSIer側の社内稟議を作成する立場であって、その稟議を承認し発注する権限は無いポジションだった。

その人をピックアップしているのが、営業部門のマネージャだった。しかも、その会社からはその方だけがピックアップされていて、その方の上長(上記した稟議を承認し、発注権限を持つポジション)に当たる方は、誰ひとりピックアップされていなかった。

パンセの前回、前々回でも述べたが、自分の立ち位置によって、どのように振る舞うのかが重要である。
自社の営業部門のマネージャは、「マネージャ」という肩書があるのだから、黒柴のカウンターパートナーではなく、その上長にあたる方と関係を構築するべきなのである。

黒柴のカウンターパートナーの方は、人あたりもよく、話しやすい人である。そのため、営業部門のマネージャは取引先の会社に対して、その方とだけ積極的にコミュニケーションをとっていた。
しかし、その方はその後異動になって、自社が担当できるような開発とは別の取引先を担当するようになり、自社へ発注するという稟議を作成することもなくなった。
結果として、そのSIerからは現在自社に対する発注は皆無である。
重ね重ね、もったいないことをしたものだと思う。

まあ、そういう営業部門のマネージャの姿を見ているから、冒頭で書いた中途採用の営業職も、彼にとって話しやすい人としかコミュニケーションを取ろうとしないのだ。
諸兄らの会社の営業職は、きちんと自社の「目であり、耳であり、口である」と言える行動をとれているだろうか?

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