黒柴の来歴 その8
トラブルを望む人々
その7の続きとなるが、しばらくシステム共通グループとして、共通処理の作成やシステムアーキテクチャの整理などを実施していたが、プロジェクトの人数が増えて製造(プログラミング)が本格的になったころ、そのようなアーキテクチャ検討のような作業はなくなった
そのころから、結合レベルのテストをSIerのエンジニア側で実施するために、単体テストの完了したモジュールをビルドしてリリースするリリース管理と、SIerから報告される不具合の管理(調査・切り分けを含む)が主な作業内容となっていった
単体テストと軽く書いているが、当然Delphi 2.0にもユニットテストをサポートするフレームワークは用意されておらず、テストらしいテストも実施できていなかった
ただ、その7に記載したように、製造(プログラミング)に携わるメンバーが、新人研修を終えた程度の「テストってどうやるんですか?」というレベルだった
そのため、今後のキャリアのことを考えても、「テストのやり方」という説明と合わせて、テストを実施させるべきだと思っていた
御多分に漏れず、このプロジェクトも若干の遅れ気味だった
というか、当時の自分の感覚だと、遅れていないプロジェクトなどは見たことがないという感じだったが・・・
遅れのこともあって、当時のプロジェクトリーダー(自分より2年くらい先輩の人)が、「(単体)テストをスキップしよう」と言い出した
実際は、そこまで遅れが深刻でもなく、また上記したように新人レベルの作業者に少しでもキャリアを積ませるために、「単体テストはきちんと説明して、実装者にやらせるべき」と意見具申した記憶がある
結局のところ、このプロジェクトリーダーは、「テスト」に関してきちんと説明できるだけのスキルを持っていないので、この工程をスキップしたいと考えていたのだ
当時(今もかもしれないが)、トラブルを望む人たちは、自分の周りにはたくさんいた
なぜかと言えば、まだPMBOKなどというものがなく、どのようにプロジェクトをコントロールすればよいのか、誰もわかっていなかった
そのため、上記したように大半の大型プロジェクトは、多少の差はあれ遅れ気味で、モデル的な開発のフェーズ(基本設計、詳細設計、製造、単体テスト、結合テスト、総合テストなど)を状況に応じてスキップするとか、簡略化するということは、日常的に行われていた
工程のスキップ、簡略化をおこなった結果、ベテランと言えども、過去に携わったプロジェクトでテスト工程をきちんと行ったことがなく、「テストをどのように計画し、実施するのか」ということが理解できないいない人は、かなりの割合で存在した
当時は、そんな状態であったこともあり、「ソフトウェアのテストは、どのように行っていくのか?」ということは、黒柴のライフワークとなっていくのである
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