黒柴的パンセ #35
黒柴的スポーツ考 #5
「ロードバイクにおけるトレーニングとは」
何回か、ロードバイクはスポーツなので、ロードバイクを趣味として楽しもうと思ったらトレーニングが必要と言っているが、ではどのようなトレーニングが必要なのだろうか?
今回は、黒柴がとりあえずこういうことをやっておけばいいと思うということを書いていきたい。
1.とりあえず乗る機会を増やす
なんだかんだと言っても、とりあえず乗ることだと思う。
ロードバイクは、「速く、遠くに、楽に」行くために作られている自転車であり、あのちょっと前傾姿勢のキツイポジションには、脚だけでなく身体全体の筋力を効率的に使うという意味がある。
黒柴も初心者の頃は、長時間乗ると尻が痛くなったり、肩や首が痛くなったりしたが、これはロードバイクに乗るための筋力が不足しているから発生していると思う。
乗ることに慣れていくうちに、体幹の筋肉(いわゆるインナーマッスル)が鍛えられ、徐々に腕の力で上体を支えることがなくなってくると、これらの痛みは無くなってくる。
そのためにインナーマッスルを鍛える筋トレをするのも良いのだが、乗車姿勢に慣れるという意味でも、ロードバイクを操るというスキルを身に着ける意味でも、乗る時間を増やした方が良いと考える。
2.フィッティングを受ける
これも以前から言及しているが、スポーツ≒スキル×フィジカルであり、機材を使用するスポーツは、よりスキルの割合が大きいと思っている。
特にロードバイクは機材スポーツの最たるもので、きちんとしたスキルを身に着ければ、多少フィジカルが衰えてきても楽しめる。
しかし、そのためには機材をきちんと使える状態にしておくことが重要である。ほかに機材を使用するスポーツでも、使用者の身体のサイズ、フィジカル(筋力、柔軟性など)に合った機材を使用しなければ、楽しむことはできないし、逆に身体の故障の原因となる。
ロードバイクに乗る人は、プロ競技者にあこがれを持つ人も多いため、極端な前傾を取るために、サドルとハンドルの落差を大きくとる人もいる。
また、楽だからと、極端にアップライトなポジションを取る人もいる。
前者の場合は自分のフィジカルにあっていない場合に身体の故障の原因となる。後者の場合は、上体の重さを上手く使えず、脚だけでのペダリングに終始するため、いつまでたってもスキルが上達しない。
そんなことを避けるためにも、きちんとしたフィッティングができるところで、フィッティングをしてもらうのが良いと思う。
ちなみに、黒柴は行きつけのショップが対応していることもあり、Retülのフィッティングを2回ほど受けている。
3.剛性の高いバイクに乗る
これは、「何言ってんだ?こいつ」と思うかもしれないので、あくまでも黒柴の体験として聞いて欲しい。
黒柴が最初に購入したバイクは、FELT Z5(2010)といういわゆるエンデュランス系と呼ばれるモデルである。
これに乗って、一人でだいぶ走れるようになった2019年くらいから、ショップが主催する走行会に参加するようになった。
ショップの走行会は、競技を目指す人も多くいて、ロードバイクの乗り方、ペダリングについてアドバイスをもらったが、その中で強く言われたのは「必要なところで踏んで、後は脱力する」、「踏むよりも脚を上げることを意識する」ということだった。
この「必要なところで踏んで、後は脱力する」というのは、前々回も取り上げた竹谷さんも著書などで述べていることだが、この感覚がFELT Z5では掴みづらかった。
2021年になってショップの走行会仲間が次々とディスクロードに乗り換えていくのを見て、黒柴もFELT FR Advanced(2020)を購入した。
こいつは、プロチームも使用するレーシングバイクで、素人が乗ってもZ5との剛性感の違いが良くわかった。
それと同時に、踏んだ時のトルクの反応がダイレクトに返ってくるので、踏む⇔脱力の感覚が分かりやすく、ペダリングは劇的に改善した。
この話をショップのスタッフ(この人もヒルクライム大会には積極的に参加し、メーカーの試乗会にも参加するかなり乗れる人)にすると、「エンデュランス系のバイクは、踏んだときにワンテンポ遅れて、ギュンと反応が返ってくるので、そのあたりが脚に優しいと言われるのだと思う。その分、反応が掴みづらいので、ペダリングを向上させようと思ったら、反応が分かりやすい剛性感の高いバイクに乗ることも経験してもらいたい。」と説明してくれた。
再度言うが、スポーツ≒スキル×フィジカルである。
「ペダリング」というスキルを身に着けると、多少フィジカルが衰えてきても、スポーツ全体のレベルを落とすことなく楽しめる。
せっかく、ロードバイクというスポーツに巡り合ったのなら、ロードバイクが楽しめるように、トレーニングにも取り組んで欲しい。