黒柴の来歴 その2
テストって、どうやるんですか?
最初の配属先での仕事は、ある通信機器のMMI(Man-Machine-Interface)がUNIXのコードを移植していて、その移植部分の確認だった
当時(1980年代後半)はPC(Personal Computer)は一般的ではなく、開発環境もUNIX(ハードはミニコン)であったため、マシン室まで移動して端末からプログラムを入力し、コンパイルが通ったら紙に出力して、自席でそれを確認するという感じの仕事だった
移植自体は終わっていたので、紙に出力したプログラムコードのファイルをリーダーが自分に渡して、これをテストしろと指示してきた
テストといっても、現代のように動的にテストができるわけもなく、いわゆる「机上デバッグ」という奴で、紙に出力されたプログラムを目で追いながら、変数の値を別の紙に書き出して、全体的なプログラムの流れやデータの整合性を確認するという作業になる
テスト自体のやり方は分かっているのだが、何をどのように確認すればよいのかが分からず、そのファイルを持ってきたリーダーに質問してみた
「テストって、どうやるんですか?」
当時も「単体テスト」、「結合テスト」とかの用語はあり、おそらくリーダーが指示してきたのは「単体テスト」だと思われる
しかし、リーダーは上記したやり方を説明するだけで、どのようにテスト項目を作成して、それにより何が確認できるのか?ということは説明してくれなかった
そのため、自分にとってはプログラムの動きを机上でシミュレーションしているだけで、何一つテストはできていない
一日かけて、「このプログラムって、こう動くんだ」ということが分かっただけだった
そして、ライフワークへ
この「テストのやり方が分からない」ということは、自分にとっては軽くショックだった
もちろん、自分自身が「分からない」ということではなく、自分の周囲の人がテストのやり方をきちんと理解しておらず、またそれを疑問にも思っていないということにである
上記のリーダーも、「プログラムを動かして確認する」ということは理解できているのだが、それにより何が確認できるのか?ということまでは理解できていなかったようだ
別にリーダーが悪いわけではなく、だいたい自分の周囲にいる人たちは同じような感じだったし、解説本のようなものを探そうにも、プログラミング言語やシステムの解説はあっても、テストそのものを解説した書籍はなかったと思う
そんなわけで、
「ソフトウェアテストとは何か?」
「どのように項目を作るのか?」
「それにより何が確認できるのか?」
「どういう状態になればテストが終わったといえるのか?」
など、ソフトウェアテストについて考えていくのが、ライフワーク的な課題となった
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