黒柴的パンセ #51
黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #36
ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく。
「また、Excelか・・・」
これは、先日黒柴のリーダーが「ドキュメントのテンプレートとして、これを使ってください」と提示してきたファイルをみて、黒柴が口にした独り言である。
ソフトウェア開発を実施していく上で、プログラム以外にも各種ドキュメントを作成していく。
ドキュメントにもいろいろなタイプがあり、文章メインのもの、図がメインのもの、表がメインものなど、作成する内容によって、だいたいこの3種に大別されると思う。
黒柴がこの3種に大別するのは、この区分によって作成するためのツールを変える必要があると考えているからである。
黒柴は、
文章がメインとなる場合⇒MS-Word
図がメインとなる場合⇒MS-PowerPoint
表がメインとなる場合⇒MS-Excel
と使い分けを行っている。
この手の話題を出すとかなりの確率でframeとなりやすいのだが、あえて黒柴は書きたいと思う。
なぜ、エンジニアは文章をメインとするドキュメントを作成する際にも、Excelを使うのだろうか?
ここで文章をメインとするドキュメントの代表的なものとして挙げるのは「要件定義書」である(今回リーダーが提示してきたテンプレートも要件定義書である)。
パンセ#46で書いたように、ドキュメントを作成する場合、「このドキュメントは誰が読むのか?」「このドキュメントは誰に向けて書いているのか?」を確認することが重要である。
「要件定義書」を確認するのは、基本的はプロジェクトオーナーとなる発注企業の責任者や、利用者、運用担当者となり、その人たちはソフトウェア開発とは多少縁遠い、いわゆる一般的な利用者なのだ。
そういう人たちに向けて、Excelで作成したファイルは「読みやすい」と言えるのだろうか?
よく報告資料や提案書などは、「結論を先に書く、そしてそのあとに結論に至った経緯や、調査結果などのデータを書く、そうすることでその資料が何を言っているのか把握しやすくなる」というものがある。
では、「要件定義書」を分かりやすく、全体を把握しやすくするのは何なのか?
黒柴は、「目次」だと考えている。
目次を一読すれば、その要件定義書に記載されている項目が確認でき、そもそも記載項目の漏れが確認できる。
また、目次からリンクが設定されていれば、確認したい項目の内容に簡単にアクセスでき、該当項目の記載内容や必要内容の漏れなども確認しやすい。
MS-Wordが文章メインのドキュメントを作成する場合に優れていると思うのは、この「目次」を自動生成してくれる点だと思う。
しかも、目次の項目を追加・削除・変更した場合でも、そのメンテナンスは自動生成のため、きわめて容易だ。
MS-Wordを利用できている諸兄らはよくわかっていると思うが、見出しの設定をきちんとするだけで、章番号や項番についても自動で追加・削除・更新をしてくれる。
振り返って、Excelの場合はどうだろうか?
今回、リーダーが提示してきたテンプレートも同様だが、目次もドキュメント作成者自身が作成する必要がある。
当然、章、項目の追加・削除・変更があれば、都度目次にも修正が発生する。
また、リンクを設定することも可能だが、それも個別に作業が必要となる。
MS-Wordを忌避する自社の社員に「なぜ、MS-Wordを使わないのか?」と質問すると、「使いづらい」、「作成作業が面倒くさい」と回答するだが、Excelで目次を作成することを考えると、その方がはるかに「使いづらい」「作成作業が面倒くさい」と思う。
では、なぜExcelを使い続けるのだろうか?
黒柴は、以下のような理由があるのだろうと思っている。
上記したような「誰が読むのか?」ということが意識できていない
MS-Wordの特性、使い方を学ぼうとせず、ただ「使いづらい」と言い続ける
中堅、ベテランもExcelを使い続けるため、それでよいと考えている
この「中堅、ベテランもExcelを使い続ける」というのは、非常に重要な課題であり、かつ簡単に修正ができない問題である。
結局のところ、黒柴にExcelのテンプレートを提示してきたリーダーも、新人のときから今に至るまで、「ドキュメントを作成するために、どのようなツールを使うべきか?」ということを指導されていないのだと思う。
自社においては、黒柴以外にMS-Wordを積極的に使っている人は皆無で、「以前から使っているから」という理由だけで、中堅もベテランもExcelでドキュメントを量産している。
そのため、この悪しき慣習(と黒柴は思っている)は、いつまでたっても是正されることは無い。
諸兄らの会社では、適材適所できちんとしたツールを使ってドキュメントを作成できているだろうか?
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