黒柴的パンセ #59

黒柴がこう思う#02

ここでは、過去の体験とは別に、黒柴が何を考えているかを述べていく。

SES企業ってどうなの?(その2)

前回は、SES企業で働くことのメリットを述べてきた。
実際のところ、SESで働くというか、働き続けることのメリットは、皆無だと思っている。
次に、SES企業で働くことのデメリットについて、述べていきたい。

SES企業で働くことのデメリット

最大のデメリットは、給与が上がらないということだ。
「上がらない」というと語弊があるが、思っているよりも短期間で給与は頭打ちになる。

これは、SES企業のエンジニアがどのように稼ぐのかを理解すると、簡単にわかると思う。
SES企業のエンジニアが稼ぐのは、契約先となるSIerの契約単金に依存する。
すなわち、どんなに頑張ろうが、契約時間単金×稼働時間以上に稼ぐことは難しい。

20世紀のころは、月の作業時間を120~180時間と設定し、その中に納まればあらかじめ提示した人月単金とし、それを下回る、または超えた場合ははみ出た時間×時間単金で減額、または増額という契約もあった。
これは、夏季休暇などでまとまった休みを取得するときにはありがたかった。
しかし、当時はプロジェクトマネジメント手法なども確率されておらず、大半のプロジェクトがいつも超過勤務を迫られていた。そういうプロジェクトでは、作業時間上限を200時間、ひどいプロジェクトでは240時間と設定されていて、超過時間を80時間程度ではまったく個人売上は上がらなかった。

SES企業ーSIer間の契約が、上記のように半ば固定の契約のため、それは超過勤務手当(いわゆる残業代)にも影響していた。
最初に勤務したSES企業では、社則上は超過勤務手当の支払いを規定していたが、それがきちんと適用されていたのはバブル景気が崩壊する前までだった。バブル崩壊以降は、サービス残業を強要されて、月に40~50時間程度の超過勤務に対して支払われる手当は、最大で15時間程度に制限された。
SIerに提示する超過勤務時間と、SES企業側が社員に提示する超過勤務手当は著しく乖離していたため、来歴#11で書いたようなトラブルも発生した。

働き方改革が実施されて以降、SIer側もSES企業側も作業時間の管理にはシビアになったが、基本的に時間単金×作業時間=個人売上という構図は変わっていない。
月当たりの個人売上は、SIerの一次委託先のシステムエンジニアとしては、Sだいたい70~90万の範囲内になると思う。
これは、来歴#17に書いた話だが、基本的に社員の給与は「個人売上/2」あたりで支払っておくと、会社の経営としては健全性を保つことができる。
すなわち、月の個人売上90万と仮定した場合、90万×12/2=540万が年俸の最高額である。

もちろん、SES企業だけどこれ以上もらっているよと言う人もいるだろう。しかし、それは個人売上/2を下回る年俸の若手の利益をベースにして、ベテランの年俸に上積みをしているのだ。そのため、パンセ#54で書いたように、人件費を抑えられる新入社員を多く採用し、かつ使い捨てていかなければ成立しないビジネスモデルと言える。

でも、黒柴が最初に勤めていたSES企業が崩壊したように、このビジネスモデルも限界なんじゃないかなと思っている。
長くなったので、このビジネスモデルの限界を次回に述べていきたい。


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