黒柴的パンセ #14

黒柴が経験した中小ソフトハウスでの出来事 #4

ここでは、中小ソフトハウスで勤務していく中で、起こったこと、その時何を考え、また今は何を考えているかを述べていく

「あえてビジョンを示さないのが、当社のビジョンである」
この言葉は、自社の役員Bとの会話の中で出てきたものだ

パンセ#13で、人事担当の後輩Aが「どうしていきたい会社なのか、見えづらいです」と言っていたが、これは黒柴自身も感じていた
自社は、全体会議(小さい会社なので、半期に1回程度、現状報告、この先の計画などを経営層が全社に伝える会議があった)を行っていたが、その中で何をビジネスの柱とするのか、その結果としてどのような会社を目指すのか、中長期的にどのようなビジョンを持つのかということについて、ほとんど語られることはなかった
そのため、黒柴は「自社のビジョンはどういうものなのか?」ということについて、最も話が通じて、かつ会社経営について考えていそうな役員Bに食い下がったのだが、その結果として上記の回答があった

ここで、黒柴自身も失敗だったなと思うのは、「ビジョン」という言葉を使いながら、その定義をきちんとしなかったことである
一般的には、「(会社の)ビジョン」という言葉からは、社是とか、経営理念とかを想像することが多いのではないだろうか?
実際のところ自社では、多くの会社と同様に「経営理念」については、きちんと定義されていた
では、「ビジョン」とは「事業計画」なのかというと、これも違う
黒柴が考える「ビジョン」というのは、「一定の期間を経過したあとに、この会社がどうなってるのか、またはどうなっていたいかという未来の姿」ということになる

具体的には、

  • 売上、利益の期待値

  • 会社のビジネス分野と、そのポートフォリオ

  • 会社の構成(社員数、社内ランクごとの構成比率、組織体系)

などが、明確になっていることだと思う
このような経営層が「(自社の)なりたい姿」を明確に定義したうえで、これに近づくためには、どのような事業を行っていくのか?ということを、具体的な事業計画に落とし込むことになると考える
もちろん、具体的な事業計画に落とし込む際には、それらの実施を管理するセクションや、グループのマネージャとの確認が必要となる

この自社の未来像(5年後にはこうなっているだろう、こうなっていたい)というものが、明確に定義できていないため、事業計画についても、未来像に向かって進むというよりは、現状維持という感じになってしまっている
現状維持は後退と同義語
これは、会社経営をしていく中で、よく言われる言葉だが、自社も結果としては緩やかに後退していっていると思う

なぜ、「あえてビジョンを示さない」と言っているのか、ということを役員に何度か問いただしたことがあるが、「社員にやりたいことをやってもらうために、トップダウンで何かを示すことでその範囲を狭めたくない」と、もっともらしいことを言っていた
だが、実際のところは、進むべき目標を自分たちで決められない、また、決めたときの自分たちが責任を負うことができないので、「ビジョンを示さない」のではなく、「ビジョンを示せない」のだと思う

結果として何年か後の会社のあるべき姿を示せない、または想定できないということは、目標がないまま現状維持の会社経営を続けることとなる
ここから、派生する問題点について、次回深掘りをする


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