黒柴的パンセ #3
「管理」という言葉を定義する その1
黒柴的パンセ#1、#2で述べた「単体テストをエンドユーザが巻き取る」の件は、その後もいろいろな影響があった
発端となった「単体テストをエンドユーザが巻き取る」と提案した、曲者のエンドユーザ側のPMは、やはりというかエンドユーザ側でも問題となり、更迭された
新たに着任したPMからは「エンドユーザが単体テストを巻き取るなどという荒唐無稽な提案を、なぜ断らなかったのですか?」と、至極当然な疑問をぶつけられた
断らなかった理由は、要件定義からリリースまでを一括契約したことにより、要件定義工程で想定外の期間・工数を費やしてしまったことについて、どこかで帳尻を合わせたい、という自社のPMや営業、ひいては社長の思いがあったのだろうなと思っている
しかし、エンドユーザ側のPMが曲者だと述べたが、このPMは一応PMPも取得していて、プロジェクトマネジメントについてはきちんとした知見を持っている人だった
振り返って自社のPMは、KKD(勘・経験・度胸)というマネジメント手法に終始してた人なので、エンドユーザ側のPMから見たら(プロジェクトマネジメントのイロハも知らないため)「御しやすい(騙しやすい)」と判断されたのだろうなと思った
プロジェクトマネジメントの初歩も理解していないPMだったこともあり、開発序盤の要件定義フェーズから、マイルストーンの設定や課題管理なども行われず、ただただ時間だけが過ぎていく状態となった
その終わりの見えない要件定義フェーズに危機感を抱いた開発担当者からは、社長に対して何度となく状況の改善や、プロジェクトの立て直し、果てはプロジェクトの一時凍結という申し入れが行われた
なぜ、PMではなく、その上長である社長に対してかというと、このPMは社員からは「話の通じない人」というレッテルを貼られていたからである
いくら筋道を立てて話しをしても、PM自身が納得できない意見だと、声を荒げて相手を威圧してくるような人だったので、このPMに申し入れをしても無駄であると判断されていた
この申し入れに対して社長は、
「このプロジェクトについて問題があるのか、無いのか、現状では判断できない
確かにスケジュールは遅れているが、今後プロジェクトの状況が好転する可能性もあると考えている
そのため、現状でプロジェクトを凍結するような、大きなテコ入れすることは考えていない
それに自分(社長自身)は、PMを信頼している」
と、いつも同じ回答して、作業者たちの申し入れに対して、具体的な対策を講じることはなかった
(「管理」という言葉を定義する その2へつづく)
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