黒柴的パンセ #4

「管理」という言葉を定義する その2

この同僚たちの社長への申し入れと、社長からの回答を伝え聞いたとき(このとき黒柴はトラブルプロジェクトのメンバーではなく、申し入れには参加していなかった)、黒柴は「論理が破綻している」と感じた
それは、社長が「プロジェクトの状況について、問題があるのか、無いのかがわからない」と言っているにも関わらず、「PMを信頼している」と言っていることについてである
つまり「プロジェクトの状況が把握できない」≒「PMがこのプロジェクトを管理できていない」ということを示しており、だからPMは「プロジェクト管理ができていない」≒「PMとして信頼に値しない」と思ったからである

ここで上記の「(社長自身が)プロジェクトの状況が把握できない」≒「PMがこのプロジェクトを管理できていない」ということを証明するために、「管理」という言葉の定義を考えてみることにした
管理」をWikipediaで引くと、リンク先のような説明となっている
これはこれで、なんとなく分かるような、分ないような説明であり、「管理とはなんぞや?」と説明を求められた人が、プロジェクトグループの「指揮」とか、「統轄」とかをイメージすることに近いのかなと思う
しかし、イメージだけのため、具体的に「指揮」、「統轄」として、何を行えば「管理をしている」と言えるのか、分かりづらいと思う

このとき、「管理」という言葉を、次のような一文で定義することを思いついた

「管理とは、管理する対象の状態を、関係者が確認できるようにすることである」

このように「管理」という言葉を定義すると、プロジェクト「管理」においてPMBOKで規定されている管理文書を作成する意義が明確になる
管理文書は、関係者(社内、社外のいわゆるステークホルダー)がプロジェクトの状態を確認するために必要な情報を整理したものであり、確認する関係者の目的にしたがって、いろいろな観点(予算、作業内容、スケジュール、リスク、課題、要員の配置など)の管理文書を作成することとなる
「プロジェクトの状況が把握できない」という事象の理由が、「管理文書が無い」ということであれば、その管理文書を自ら作成しない、または部下に作成を指示しないPMは、プロジェクトについて管理できているとはいえず、職責を果たせていないと判断することができる
すなわち、PMはPMが本来やるべき作業である「プロジェクト管理」を遂行できておらず、信頼するに値しないのだ

この「管理」の定義を考えついたとき、

言葉は定義の入れ物であり、言葉を簡単な一文で定義することで、その言葉で何をするべきかが明確になる

という「言葉の定義」を行う意義が、黒柴の中で腹落ちした
以降、黒柴が思考していく中で、「言葉の定義」ということを強く意識することになったのは、このことが発端である

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