シンフォニエッタ ~水都のスケッチ~

概要

曲名:シンフォニエッタ ~水都のスケッチ~
作曲:Jan Van der Roost
時間:約25分
日付:2015年12月27日(日)
担当:指揮
録音:https://youtu.be/HcR2zlnP5NI

はじめに

この曲は自分の引退定演でメイン曲として振った曲になります。120名を超える団員のほぼ全員で演奏しました。懐かしいね。
大阪市音楽団により委嘱され2003年に初演を迎えた曲であります。4つある楽章はそれぞれ独立した曲想を持ち互いに関連性は無く作曲されていますが、委嘱元のホームグラウンドである「大阪」を念頭に置かれているように感じます。

第一楽章 -水都に着いて-

パーカッションによるSenza Misura(Cadenzaのようなもの)から静かに曲は始まります。メロディやハーモニーは夜明けの霞を思わせるようにおぼろげで、聴き進めていくと知らぬ間に視界が晴れてくるようです。楽章の終盤にある、様々な木管楽器による自由なフレーズはキラキラしててとても好きな場面でした。

第二楽章 -剣舞-

穏やか曲想から一転、小太鼓による激しいリズムから幕が開きます。5拍子で展開されるホルンのメロディが様々な楽器に引き継がれ曲は続いていきます。木管楽器による第2主題は5/8によるブレイクを経て最高潮に達します。ここから本番テンションか、走ってんじゃない?というくらいいけいけどんどんなテンポ感になってこっちまで楽しくなってきたのはいい思い出です。

第三楽章 -河畔の夕暮れ-

更にまた曲想は一転し緩やかで、感傷的に始まります。この楽章だけではないですが、この曲は裏拍から始まるフレーズやリズムが多く、合奏で整えるのにとても苦労した覚えがあります(それはひとえに僕の能力が足りなかったことに起因しますが…)。ただこういった曲想は、冷静に振りたい自分と曲に飲まれて振りたい自分の板挟みを感じられ、とてもやりがいを覚えます。Diminuendoしていきながら、夜の帳が下りるように曲が終わるのも好きなポイントです。

第四楽章 -未来に向かって-

木管楽器によるTuttiから始まり、トロンボーンによる3拍子の伸びやかなメロディが続いてゆきます。このメロディがとてもよくできており、切れ目はどこか、頂点はどこか、どのように持っていくのがベストかなど毎合奏で試行錯誤の連続でした。最終盤での直管楽器によるメロディに木管楽器の細かいパッセージ、ホルンの心地よい対旋律、軽快だけど安定したベースライン全ての合わさった全奏は本当に心地よかった。「団員のみんなで」する音楽だったからこそだったかもしれませんね。ラストから2小節前にあるシンプルなB♭の和音も、今に至るまでこれほど綺麗に響いたものは無いくらいでした。音に包まれるってこういうことを言うんですね。

おわりに

いきなり思い出の頂点にあるような曲について書いてしまいました。このままで今後も持つのか…?でも、自分の思い出と軌跡を記録していく意味で今後もこのように文章を書いていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?