「自分が嫌いな人には嫌われてもいい」と切り捨てる強さ
「誰かに嫌われないようにしよう」と思って生きていた。たとえ自分がその人のことを嫌っていても、自分はその人から嫌われないようにしようと思っていた。「思っていた」という過去形は正しくないかもしれない。「思っている」という現在形が正しいかもしれない。
嫌いな人や苦手な人と、どうすれば仲良くなれるか、仲良くなれなかったとしても「無関心」になってもらうレベルの落ち着き具合までいけるといいなと思っていた。それが一番穏便に済ませられる方法だと思っていた。
大学生のときにバレンタインのチョコレート販売のバイトをした。そのときに会った子は、私と真逆の考え方の子だった。
私は当時、真面目に働いてた(客観的に見ても私は真面目に働いていたと思う)のに、なぜかとある1人のバイトのオバサンに目をつけられてしまった。私よりも一回り以上は年上のオバサン。
意味もなく毎日いびられて精神的に参っていた。
気がついたら両耳が聞こえづらくなくなっていて、メニエール病というものに初めてなった。
私のテレビの音量は通常20くらいなのに、音量を30に上げても、40に上げても聞こえづらかった。
バレンタインバイトの期間、たかが一ヶ月。されど一ヶ月。
他人からしたら些細なよくある事柄かもしれないけれど、耐えられる容量は人によって違う。私にとってはそのオバサンに毎日毎日いびられることが、ものすごくしんどかった。
そんなある日、同じバイトの子が、私にだけ聞こえる声量でこっそり話しかけてきた。18歳だけど高校に通っていなくて、遠距離恋愛をしている彼氏が北海道にいるという情報だけ、前に話したときに得ていた。
「紫桃さん、なんかAさんに嫌われてますよね」と言われた。その通りだったので、「そうですね、なんでか分からないんですけど」と返した。するとその子は「私、Bさん(バイトのオバサン)に嫌われてるみたいなんです」と言った。
たしかにBさんはその子に対してだけ言葉が強いなとは思っていた。そう言われてよくよく振り返って考えてみれば、たしかにその子はBさんに嫌われているのかもしれない。
私はいつも通り、どうすれば仲良くなれますかね……といったニュアンスを含めて「なんでですかね〜」と返した。
「本当になんでなんでしょうね」とか「AさんもBさんも変な人ですね」とかいった返事が来ると思っていたら、その子の口から出たのは私が思いつきもしなかった返事だった。
「まぁ私もBさんのこと嫌いなので、Bさんに嫌われていても、どうでもいいんですけど」と。
衝撃だった。自分が嫌いな人からは、自分のことを嫌いになられても構わない。
嫌いな人に嫌われようが、どうでもいい。
その強さがかっこよかった。私より4つも年下の子なのに、ものすごく強い子だなと思った。
色んなバイトをしてきた中で、精神の強さと年齢は何の関係もないことを知った。年上なのに「本当にどうした?大丈夫か?」というような人にもたくさん会った。今も「どうした?どうやって今まで生きてきた?」と思わずにはいられない人がいる。
『嫌いな人にこそ挨拶や「ありがとうございます」を言いまくれ』という恩師の言葉がいつも脳裏にあるので、嫌いな人や苦手な人には、好きな人や好いてくれている人以上に挨拶をしてお礼を言うことにしている。(この恩師のことはいつかnoteに書く予定)
さて、世の中には「お清めスプレー」なるものがあるらしい。嫌いな人の机やロッカーにかけると自分のもとから立ち去っていく、という噂がTwitterでたくさん流れてくる。
そして「恋スプレー」というものもあるらしい。恋スプレーに関しては「仲良くなる的なもの」だと思う。(私の解釈なので違うかもしれないが)
そもそもこのスプレーに対して私は懐疑的ではあるが、多分これって「自分はこのスプレーを使ったから大丈夫」という自己暗示の為せる技だと思っている。自分の心持ちの強さがなんとなく表に出て、自信がついて「自分は大丈夫だ」と安心できるのではないかと思っている。その無意識下の自己暗示と安心が変な人を寄せ付けなくなるのではないか。
信憑性のないものでも「そういう噂があるらしい」と認識していることが及ぼす力って結構強いのではないかと思う。
お清めスプレー(縁を切る)を買うか、恋スプレー(仲良くなる)を買うか。
嫌いな人、苦手な人が自分の前に現れたときのために買っておこうと思うのだけど、どうせなら嫌いな人とも仲良くなってしまいたい。好かれるのは無理でも「無関心」レベルにはなりたい。私はあの18歳の子のように強く逞しく切り捨てて生きていけない。
そう思ってお清めスプレーと恋スプレーを探しているけど、どこに行ってもお清めスプレーも恋スプレーもない。高額転売されていたり本物か怪しいものばかり目に入る。転売ヤー滅せよ。まじで。
公式サイトが通販やってるからそこで買おう。公式サイトしか勝たん。公式サイトだけが正義。再入荷はいつですか。
伊勢神宮には行ったことないけど、テレビでよく特集が組まれているから、なんだか行った気分になっている。テレビで行った気分になるから旅費が浮いて素晴らしい。いや勿論、現地で見るのとテレビや画面越しに見るのとは天地の差がある。美術館とか行くの好きだけどやっぱり実物の迫力って素晴らしいなって思うし。
公式サイトと現地って素晴らしい。あと、「自分はこの人を嫌いだからこの人からどう思われていようがどうでもいい」と切り捨てる強さも素晴らしい。
強くてかっこいい人間になりたいものです。