村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』2008年版と2023年版比較、第一章から第三章まで。
村松秀樹 (著, 編集), 富澤賢一郎 (著), 鈴木秀昭 (著), 三木原聡 『概説信託法』、2023、金融財政事情研究会が出版されました。
旧版にあたる、村松秀樹,富澤賢一郎,鈴木秀昭,三木原聡著『概説信託法』2008年版との比較です。
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目次
小目次の削除。
【46】後継遺贈型の受益者連続信託における、信託と遺留分侵害請求の追加。
【48】受益権の譲渡等及び相続による承継における、受益権の相続における承継の追加。
【71】信託契約の締結と定型約款の追加。
・各箇所・・・新法から現行信託法への変更。
第1章 総則関係
P5 「事業」が信託されるものではない。の追加。
P7 受働信託(名義信託) 信託の定義との対比で有効・無効を判定すれば足り、の追加。
P19からP20 受託者 信託法7条に関して、成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律施行に伴う変更。
P28からP29 信託財産に属する財産の取戻し(詐害信託取消請求)注1、注2、注3の追加
注1【一般的な詐害行為取消請求の直接適用】
3つのケース別に考え方を提示。
注2【詐害信託取消請求等についての民法の適用】
基本的に、信託法の特例の規定と両立しない規律を除き、民法の規定がそのまま適用される。地位の置き換えをしながら、民法の詐害行為取消権の一般的な要件を満たす必要がある。
民法424条の7第2項(訴訟告知)
注3【帰属権利者について】
原則として、残余財産の帰属権利者を含まない(信託法182条。)。
P33 受益者に給付された財産の取戻し(受益者給付取消請求)、注11の追加
注11【同趣旨の規定】
会社法759条2項、同条3項。
P42 3不動産登記法等における信託の公示に係る規定の整備、注8の追加
注8【信託の登記の法的な位置付け】
そうすると、信託の変更の登記をするに当たって、厳密にいえば、不動産登記令別表25の項の適用はなく、登記原因証明情報の提供は必要がないと解することができる(したがって、受益権の譲渡当事者の作成した譲渡証明書の提供などは必要なく、受託者作成の報告書において譲渡の敬意が証明されれば足りると解することができよう。)。
第2章 信託財産関係
(1)信託財産と固有財産との間での共有物の分割
P56 信託法105条1項ただし書きの追加。
P57 信託法84条中の、信託法19条の規定の適用について、受託者とは受託者全員を指すこと、の追加。
P58 信託法19条4項の説明の追加。
(2)自己信託についての特例
P68 信託法23条3項で準用される、信託法11条1項7項、同条8項の追加。
第3章 受託者の権限、義務、責任等関係
P94 2権限に基づいて信託事務の処理を第三者に委託した受託者の義務及び責任、注5の追加
注5【第三者の監督と債権法改正の関係】
民法105条の改正による、信託法の規律との均衡について考え方を追加。
改正前民法105条
1 代理人は、前条の規定により復代理人を選任したときは、その選任及び監督について、本人に対してその責任を負う。
2 代理人は、本人の指名に従って復代理人を選任したときは、前項の責任を負わない。ただし、その代理人が、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し又は復代理人を解任することを怠ったときは、この限りでない。
P119 1分別管理義務の内容、注2について追加。
注2【法務省令による例外的な扱い】
信託法施行規則4条は、信託法14条の信託の登記又は登録をすることができる財産には当たらない財産についての特例という位置付けであること。
P143 【27】他の受益者の氏名等の開示の請求、注2【信託帳簿等の閲覧等の請求の拒否自由との対比】に追加。
平成二六年六月二七日法律第九一号改正後の会社法123条3項(株主名簿の備置き及び閲覧等)と信託法38条2項との対比
第百二十五条 株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならない。
2項略
3 株式会社は、前項の請求があったときは、次のいずれかに該当する場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う株主又は債権者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求を行ったとき。
四 請求者が、過去二年以内において、株主名簿の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
(帳簿等の閲覧等の請求)
第三十八条 受益者は、受託者に対し、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
一 前条第一項又は第五項の書類の閲覧又は謄写の請求
二 前条第一項又は第五項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
2 前項の請求があったときは、受託者は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
一 当該請求を行う者(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が不適当な時に請求を行ったとき。
三 請求者が信託事務の処理を妨げ、又は受益者の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
四 請求者が当該信託に係る業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
五 請求者が前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
六 請求者が、過去二年以内において、前項の規定による閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。
P154 【31】損失填補責任等に関する消滅時効等
民法167条改正による説明の追加。
P171 (5)費用等の償還等を受ける権利の行使に対する制限、注14の変更
注14【受託者による代位の規律】→注14【受託者の保証人地位と代位】
P176 【35】受託者の信託報酬
信託法54条4項、民法648条の2についての説明。
注8【委託者又は受益者の帰責事由】の追加。
民法536条2項の説明。