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かもめんたる槙尾論

「エレ片」の槙尾SP回を聞きました。面白かったし興味深かったし思うところありました。なので僕の感想というか考えの整理みたいなものをしたいので拙く無粋な文章を書いていきたいと思います。ちなみに所々だけで全部ちゃんとは聞いてません。

あと僕の勝手な書き綴りなので読まなきゃ良かったと思うかもしれませんがそこは自己判断でお願いします。お笑いをいろいろ観てるとこういうジャンルのものに出くわします。なんというかストレートに笑えるかどうかは人を選ぶ笑い。

差別とか偏見とか大きな範囲の話ではなくて個人的な精神や思考や語弊しか無い言い方ですが発達障害的なものに対する笑いです。そもそもお笑いにはそういうものを揶揄したり嘲笑したりする要素はあります。今回はその要素を僕は強く感じました。

もちろんプロの方がショーアップしているので存分に楽しめました。面白かったし実際のところのご本人さんたちの気持ちはわからないです。大前提にエンタメはファンタジー。その上でこの気持ちは、もといこういうジャンルの笑いって何なんだろう?

まずここで僕が言ってるこういうジャンルっていうのが、ざっくり言うと「イジり」の笑いです。本人が例えば練習して披露するコントや漫才などの笑いとは違う、トークやリアクションの中でアドリブ的に作ってゆく笑い。

しかも関係性や内面的なものを重視するいわゆるひな壇芸的な笑い。先輩とどういう間柄でどんなキャラクターでどういったエピソードがあって…という情報をイジったりイジられたりしてバラエティ的な盛り上がりを作る。それが「イジり」の笑い。

それ自体はもはや全然珍しくなくてテレビの中で当たり前のように繰り広げられ芸人さんじゃなくても日常会話の中でも「イジり」の笑いはあります。ただ今回僕が感じたのは「イジり」の笑いが成功しなかった時の「イジり」の笑いについてです。

「イジり」の笑いは練習した物と違ってそれが失敗して想定外の状況になってもその事自体を「イジる」事で笑いや限りなくドキュメンタリーに近いエンタメに仕上げる事が出来たりします。今回はそれに近い気がします。

バナナムーンで日村さんがオークラさんや永井さんにブチ切れた回やアメトーークでの児嶋あそび、アウトデラックスでのふかわさん、昔の爆笑問題カーボーイでの田中さんへの説教、上岡龍太郎と松尾貴史の口論などが僕の中でそういうジャンルです。

それらが「イジりが成立していない事自体をイジる」笑いやエンタメだと僕の中で思っています。ここで判別が難しいのがラジオ内でも言ってたクロちゃんさんです。ただクロちゃんさんは僕の中で「イジり」の笑いの範囲内です。微妙な違いですが。

クロちゃんさんやフルーツポンチ村上さんはなんというか意図的に「イジりが成立してないイジり」に持っていってる感じがします。それは技術として上手いというか、見てられるアクシデントというか、もっと言うとプロレス的です。ヒール役です。

僕の勝手な決めつけですがクロちゃんさんや村上さんはなんか度合いとしてまだ大丈夫な範囲だと思うんです。この回の槙尾さんや先程上げた日村さんや児嶋さんのラインは通常よりかなり精神的に掘り下げてて本人がギブと言うかどうかな気がします。

もっと比較するとわかりやすいでしょうか?例えば出川さんやナダルさん、狩野英孝さんやオードリー春日さん、はんにゃ金田さんはイジられ要素が強いですがそれはやはり本人や周囲の想定範囲内な気がします。「イジられ」の万人受け。王道。

そこを基準とした時、クロちゃんさんやフルポン村上さん、極楽とんぼ山本さん、バイきんぐ西村さん、中川パラダイスさんは「イジられ」としては変化球。邪道。どうなるか予想がつかないのが面白いんだと思います。槙尾さんはそれとも違うんです。

「イジられ」キャラになるかどうかすら定まってない段階のフワッとした部分を「イジられ」ていたと思います。そこには自意識や人間関係やそれに共感するか嫌悪するかの人間性とかもあって味わい深かったです。そしてさらに

先程上げた日村さんや児嶋さんはその「イジられキャラになるかどうかのイジり」を迷いつつ受け入れてこなしていくのですが槙尾さんは維持する運動を感じます。「イジられ」と言うより「イジらせ」てる感じ。

かといってふかわさんや田中さんのように「場合によってはイジられるけど基本しっかりしたポジションを取る」という感じでもありません。そこに関しては受け身だけど場の支配の仕方はサディスティック。これは芸人さんには珍しい気がします。

つまり小市民的です。一般人的です。一手一手がかなり詰将棋的なんです。こういう人いるな。とか自分もそういう部分あるな。と思ってしまう理由はここにあると思います。そしてそれは片桐さんとたしかに近いんですが違う点があって

片桐さんは見た目や発言や声質がボケ的であって、槙尾さんは持ち合わせてる要素やポジション的にもツッコミだと言う点です。フリとコナシで言ったら片桐さんはフリ、槙尾さんはコナシなんです。

片桐さんは槙尾さんより落差が少ないと思います。槙尾さんはギャップがある。その上でそれが「イジりが成立しにくい範囲」なのです。これは槙尾さんや周囲が悪いとか治すとかの話では無くて人間的にもお笑い的にもそういうものだとしか言えない。

表面的には変えたりできるしお笑い的にはちょうどいい落としどころを見つける事も出来ると思います。しかし根本的には変わらないと思うし槙尾さんだけでなくこういうタイプの人や状況はいくらでも起こりうるという事なんです。

槙尾さん個人で言うと「ラジオかもめんたる」「ごみラジオ」「ぐちラジ」「ゴッドタン」「エレ片」という順番で僕は見てきて「イジりが成立してないイジり」キャラは仕上がってきているとは思います。かなり特殊だけど面白いではある。

ただそれはかなり一般生活の中で目にしたり自分がそうなったりそういう人にイラだったりする人間関係の肝的な部分な気がします。このラジオはお笑いだからいいけど実生活で直面した時どの立場でも答えは出にくいだろうなと感じてしまいます。

いろいろ考えましたが僕が感じたのはこういった事です。この一連の流れがかもめんたるの「クレーマー」コントっぽくて面白かったです。エレキコミックのイジりも片桐さんの面白がり方も含めて楽しめました。ありがとうございました。

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