むしられた
最近、我が子がお風呂に行ってる間に、お着替えセットに座り込んでる猫先輩。
「1匹目も大事にすべし」と無言で訴えている。
最近、ようやくガーゼやおもちゃを掴む仕草を見せてきたうちの小さい人。
「ちょっと、つかもうか」と手当たり次第にぎにぎしている。
いつかは起こると思っていたが、思ったより早く訪れたこの日。
小さい人の風呂上がり。水気を拭き取る間、猫は居座っていた場所を譲りたくなかったらしく、かたくなに我が子の側に座っていた。
そーっと伸びる我が子の手。
少し遅れて、そーっと立ち上がる猫。
小さい手は、がっちりと腹毛を掴んでいる。
猫は真顔で、これ以上動けないことを察していた。
目をまん丸にして、息を飲んでいる。
小さな手は、猫の腹の下で固く握られている。
ヤバイ、猫が危険を感じて我が子を引っ掻くかも!と焦った私は、小さい人の手を解こうとした時、
小さい人は、ゆ〜っくりと握った手を自分に引き寄せた。
こぶしに残る、ふわふわの腹毛。
ああああああ。
うちの猫のいちばん柔らかい毛。白くて柔らかい腹毛が、手の中に小さな束を作っている。
ごめん!と謝って慰めようと猫を見ると、
今まで見た事がないスローモーションでその場を離れ、ソファに上がると、ぬるっと香箱を作った。
ニコニコしている小さい人。おもむろに毛束を口に持っていくので、慌てて握った腹毛を取り除く。
あのな、猫、むしったらあかん。
そういうと、悲しそうにすすり泣き始める小さい人。怒られたの、分かるのね。
向こうには真顔で香箱の猫。
もー。