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パリにオープンした「無料レストラン」の目的は?

なななんと「無料レストラン?」パリに??
こんな記事をパリ在住の生徒さんから送って貰ったので調べてみました。
美食の国フランスにレストランは山のようにありますが、無料で飲食できるレストランってどんな人が来るの?どんな人がシェフなの?

この18年間でパリは路上生活者の数が84%も増加した

かなりの数字ですが、これ事実なんです。
昨年より行われている黄色いベスト運動。あれも路上生活者やホームレスたちの貧困さを顧みてくれないマクロン大統領への抗議運動ですよね。
実に56%ものパリっ子たちが将来自分たちも路上生活者になるんではないか・・・と考えているんだとか。
それ故に75%の人が路上生活者に共感を覚えているようです。

こんな状況を踏まえて2017年にパリはオペラ座近くに位置するマドレーヌ寺院の地下にこのレストランはオープンしました。
その名は「レフェットリオ」
そしてシェフはミシュラン3つ星を獲得したマッシモ・ポットウーラ氏だと言うので驚きです。
彼の経営するイタリアにあるレストランでは”世界のベストレストラン50”で世界一にも選ばれたのだそう。

従業員は年齢も地位も職種も様々

驚きはそれだけではありません。
このレストランの従業員はその日その日によって違うのです。
しかもボランティア。
大学教授もいればシリアからの難民もいたり、ファッションブランド勤務の女性などバックヤードに何の共通点もありません。

そんな彼らですがここで働く事は大変気分が良いと言います。
雰囲気がいいのはもちろん、年齢や職業と言ったものを超えて社会に役立てているという意識かもしれません。

気になるお客様は・・・

そしてこのレストランを訪れるのはホームエスや難民・移民などの貧困生活者たち。
彼らはここに来て美味しい食事を無料で提供される。
無料はいいけど、憐れまれて食べるのはちょっと・・・と最初に思ったのは私だけでしょうか。

そうか。ファーストフードのようなものであれば無料と言ってもおかしくないものね。
と納得したのもつかの間、なんとメニューは一流レストランで提供されるものと殆ど忖度ないものだそう。

例えばある日のメニュー
前菜=フレンチトーストのズッキーニ添え メイン=鶏肉と野菜の煮込み デザート=クリームの赤い果実添え と来た♪
これは立派に三つ星レストランで提供されそうなメニューです。

無料の目的は?

でも”施し”ではありません。
このレストランでは兎角惨めに感じてしまう彼ら貧困層に対して
尊厳を持ってもらいたい!自信を持ってほしい!
という想いを目的としているんだそう。

大学教授のボランティア従業員が難民のお客様に「ご機嫌いかが?」と笑顔で接する。お客さん同士も混雑時は相席になります。各テーブルでは政治についての討論や芸能人のゴシップネタなどお喋りをしながらどんな立場の人でもニコニコ食事をしています。

ソーシャル・ガストロノミー・ムーブメント活動

この活動こそ食を通して社会問題に取り組む運動なのだそう。
境界線のないコミュニティを広げる事。
ここでは3つ星シェフも移民も同じ立場です。
かの3つ星シェフ、アラン・デュカス氏もこの活動に参加し、路上生活者に食事を提供していたんだとか。

ホームレスでも食事が美味しくなければ「まずい」と言う。
境界線は一切ないですね。

社会的地位で壁を作らずお互いの視点で意見交換をする事が出来る。
路上生活者であっても「自尊心」を持つ事に繋がります。
世界中でこうした活動を通して一人でも多くの貧困層が普通に生きていけるようになる事を願って止みません。

#コラム #フランス #フランス人 #社会復帰 #ソーシャル・ガストロノミー・ムーブメント #無料レストラン

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