筋トレの醍醐味
ジムへ行く道では、
さして今日は何か目標があったりとか、
今日はこれを成し遂げたいとか、
そんな大目標を掲げていくことはなかった。
ただ漠然と、
今日は胸をやろう、
今日はスクワットをしよう、
その程度の気持ちである。
そしてジムに入ると、
がらりと気持ちが変わる。
シャフトや重りの独特のにおいや、
鳴り響く金属音、
そして、
既にトレーニングをしている人たちの
真剣な表情。
環境の力には勝てない。
まさしく、
「意識は変わらない、環境を変えろ」
である。
僕自身もスイッチを切り替えて、
昨日の自分を超えよう、
1㎏でも更新しよう、
1回でも多く持ち上げよう、
そんな気持ちになるのである。
おもむろに筋トレを始めると、
その時はやってくる。
あと1回、
上がるのか、上がんないのか?
このままだとつぶれる、
身体が悲鳴を上げる。
いや、上げるしかないだろ。
そして渾身の一発に臨む。
筋トレの醍醐味とは、ここにある。
本当に本当にきついとき、
本当につらいとき、本当に痛いとき、
「逃げない」強さ。
「逃げたい」と思ったその弱い自分に、
打ち克つ気持ち。
身体が変わる、
痩せる、
セクシーな身体に、
カッコいい身体に、
そんなものは大前提である。
その先にある筋トレの醍醐味とは、
自分の精神的限界に挑戦できることにある。
筋トレをしなくても生きていけるこの時代に、
敢えて僕らが筋トレをする理由は、
動物的な強さ、美しさ、
そして、大事なときに「逃げない」心を、
養うためである。