MEE科目のOutline - Conflict of Laws
法的紛争が発生した場合に、当該紛争が複数の法管轄地域に関連することは多々ある。このような場合に、どの管轄地域の法律を適用するかを決めるルールがConflict of Laws(抵触法。なお、日本では国際私法という名前で呼ばれることが多い。)である。
Choice-of-LawsとDomicile
Domicile(本拠・居所)とは、個人や法人がその本拠とする場所のことである。Conflict-of-Lawsにおける法選択の決定と民事訴訟法の裁判管轄決定の双方において重要な意味を持つ法的概念である。例えば、自然人が特定の州にdoomicileを有する場合、その人は当該州の裁判所のPersonal Jurisdiction(人的管轄)に服することになる。
以下では、このdomicileの概要について説明する。
1.Domicile of Individuals(個人のdomicile)
個人のdomicileは、常に1カ所である。Domicileは、
・Physical presence(物理的な所在)
・Intent to determine a person's domicile(意図)
によって決定される。
(1)Physical presence
どのくらいその場所に所在したかは問題とならないが、"actual" presenceが必要である。domicileとする意図(intent to establish domicile)をもって、所在を始めたのであれば、この要件を充足する。
(2)Intent to determine a person's domicile
Intentは、その場所に期間の定めなく留まる意図(to remain for an unlimited time)が必要となる。実際には、不動産の所有(ownership of real estate)、税金の支払い(payment of taxes)、銀行口座の保持(having a bank account)といった事情から総合的に判断される。
(3)例外
個人のdomicileは原則として上記のように決定されるが、legal capacityが無い者については、例外的にoperation of lawによりdomicileが決定される。
①Infant(幼い子供)
Infant(未成年の子供)のdomicileは、custodial parentsのdomicileによって決定される。Childがemancipated(一定の年齢に達して親のcontrolを離れること)された場合、自身のdomicileが確立される。基準となる年齢は、州によって異なる。
②Incompetents
Mental legal capacityを欠く者の場合、parent's domicileがその者のdomicileとなる。
当初はlegal capacityがあり自身のdomicileを有していたが後にlegal capacityを欠いた場合、当初のdomicileがそのまま維持される。
2.Domicile of Corporations(会社のdomicile)
会社の場合、常にthe state of incorporation(設立地)となる。
※Civil procedureのpersonal jurisdictionを検討する上で問題となるdomicileには、principal place of businessが含まれることとの違いに注意。
Choice-of-Lawsの基本的考え方
複数の州がcause of action(訴因)と"contact"(接触)を有する場合(the cause of action involves contact with more than one state)、forum state(法廷州)は、関連する州のうちどの州の法律が適用されるかを決める必要がある。
※「訴因」という用語は日本では民事系の法分野ではあまり使わない用語だが、一般的にこのように訳されるのでこの用語を使う。
Forum stateが適用法の決定をする際、大きく3つの根拠(specific statute, contractual agreements, general rule)がある。
ここから先は
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?