NY Bar受験体験記
1.はじめに
NY Barに合格し、無事登録も完了しましたため、備忘とこれから受験される皆さんへの情報提供を兼ねて本記事を書いてみたいと思います。
NY Barについては、先に留学された方々の知見が蓄積されており、それらについて書かれた記事と重複する部分も多々ありますが、細かいところでは状況も異なると思いますので、皆さんの受験計画(そして合格!!)の参考となれば幸いです。
※思いの他長くなってしまったので、具体的な登録手続、勉強方法については、別記事としてまとめています。
2.試験の準備
(1) NY Barの選択(どの州で受験するか)
一般的にはNY州とCalifornia州を受ける方が多いと思いますが、それぞれの属性(法曹資格や法律系の学位の有無など)により受けられる州、受けられない州があります。特に日本の法曹資格がないとさまざまな制限があるのですが、この点については別記事を書いておりますので、そちらを読んで頂けたらと思います。
(2)受験資格の審査
NY Barを受験する場合、基本的な手続は、The New York State Board Of Law ExaminersのHPから行います。
このサイトでBOLEのアカウントを作成し、受験資格があるかどうかの事前審査を受けるところから手続きがスタートします。この際、NCBE(National Conference of Bar Examiners)のアカウントを持っていない場合、同時に作成することになります。
受験資格にはかなりの時間を要することや各種証明書の手配が必要となります。また、先にも記載しましたが、受験資格が否認された場合、留学プラン全体の変更が必要になるかもしれませんので、早めに手続きに取り掛かることをお勧めします。
具体的には以下のような経歴の方々です。
・日本の法学部卒(日本の資格無し)
・日本の法学関連学部卒(政治学科など)(日本の資格有無に関わらず)
(3) 受験申し込み
7月の受験であれば3月、2月の受験であれば10月に申し込みをすることになると思いますが、年によっては異なることもあるようです。The New York State Board Of Law ExaminersのHPで数年先のスケジュールが公開されていますので、ご自身でもチェックしてみてください。
(4) 履修科目の入力
よくある日本人の方のパターン(日本の法学部orロースクール卒)でNY Barを受験しようとされる方は、アメリカのロースクールで一定の科目履修が最終的な受験要件となっているかと思います。
それらの要件を具体的にどのような科目で満たしているのかを登録することが必要となります。メールで案内があるかと思いますので、そのインストラクションに従って登録することになります。
(5) 履修科目の送付依頼
BOLEは、本当に受験者が必要な科目を履修しているかを確認するため、ロースクール側に情報提供を求めます。NYはBOLEとロースクールの事務局間でやり取りがされるため(CA州は違いますので、もし受験される方はご注意ください)、受験者の側ですることは基本無いです。
ただし、過去ロースクール側が必要な手続きを忘れてしまい、受験できなかったという事例があったようです。現に私の友人もロースクールのミスによって受験できないという事態に見舞われました。
また、(最終的にはBOLE側で処理が追いつかなかったことが原因だったらしいのですが)BOLEから確認が出来ていない旨の警告メールを受信した方もいたようです。この方は、ロースクールの担当者と速やかにコンタクトし、担当者がBOLE側に直接電話することで事なきを得たそうです。
いずれにしても、少しでも不安を感じたら声を上げることがアメリカでは大事ですね。。。
(6) 試験用ソフト(Examplify)の準備
試験本番では、Examplifyというソフトを使用します。案内メールに従ってインストール、ライセンス料の支払いを行います。インストール後は、試験問題のダウンロード、mock examの実施(ファイルのアップロードまで)を行います。この一連のプロセスを本番前に完了する必要があり、放置していると警告メールがきますのでさっさとやってしまいましょう。
Mock examは、一回実施すれば受験上の手続きとしてはクリアですが、何回でも実施できます。本番ではどんな操作感だろうということを確かめるため、試しに時間を測ってessayの答案練習をしてみるのも手です。
(7) 受験地の選択
試験の2ヶ月くらい前にメールが送られてきますので、案内に従って受験地の選択登録を行います。変更の可能性はありますが、試験地は以下の4つです。
・New York City (Armory Track & Field Center)
※これ以外に試験会場が追加されたとの報告もあります。
・White Plains (New York State Judicial Institute)
・Albany (Empire State Plaza)
・Buffalo (Buffalo-Niagara Convention Center)
メールが来てすぐにアクセスすれば、どの試験地も選べるようですが、時間が経つにつれ上から順番に無くなっていきます。そうなるといつメールが来るんだろう??ということですが、午前、午後、真夜中と時間帯もバラバラなようです。
日本人の方は多くがBuffaloで受験されておりそのノウハウも溜まっていますし、ナイアガラの滝観光に行きたい(もしくはカナダ観光)という方は、Buffaloがお勧めです。ただし、フライトキャンセル・遅延のリスクは頭に入れておいた方が良いです。特に2月に受験される場合、Buffaloは豪雪遅滞ですので、プランBは頭の片隅に置いて置かれることをお勧めします。
同級生のアメリカ人はフライトがキャンセルになって、夜通しレンタカーを運転してやっとこたどり着いたと言っていました。New York CityやWhite Plainsでしたらダイレクトフライトが多くありますし、Albanyも(仮にフライトキャンセルになっても)そんなに奥深くにありませんので、傷が浅くて済みます。
(8) ホテルの予約
受験地をどこにするかに関わらず、受験を決めた時点で受験地のホテルは早めに予約しておくことをお勧めします。直前になると人気ホテルは埋まってしまいますし、この時点ではキャンセル可能なホテルがほとんどだと思いますので、受験地が確定する前に一旦予約しておきましょう。
Buffaloだと、有名なのはHyattです。試験会場から最も近く、フロントのスタッフも慣れているのでお勧めですが、近くにもたくさんホテルがありますので、Hyattが予約できなくてもあまり心配する必要はないと思います。
(9) フライトの予約
ホテルと違って無くなってしまうということは無いと思いますが、直前になると価格は高騰する場合もあります。格安チケットはキャンセルができないことが多いので、受験地が確定してから予約する人が多いのではないかと思います。フライトのキャンセル・遅延(出発地によってはコネクティングに失敗するリスク)に備えてゆとりを持ったスケジュールをお勧めします。
2.〜試験前日
私は、Hyatt Regency Buffalo(試験前日〜)とEmbassy Suits by Hilton Buffalo(試験前々日:単なる予約ミスのせいです。。。)に宿泊しましたので、その2つについてレポートしたいと思います。
(1) Hyatt Regency Buffalo
試験会場から最も近いホテルです。フロントも受験者の扱いに慣れており、チェックインの時に受験者である旨を告げると、試験セット(鉛筆2本、鉛筆削り、透明な袋)と水2本の配布がありました。
①食料の調達
ホテルの一階には、スタバとバー、バー併設のレストランがあります。スタバは閉まるのが早め(試験が終わる5時頃には閉まってしまいます)です。また、バー併設のレストランもサーブが遅かった気がしますので、近くのレストランに行くかUber Eatsを利用する方が良いかなと思います。試験期間中は、ホテルの2階に電子レンジが設置されますので、食料を持っていくのも手です。知り合いは、レンチンご飯を持参し、おにぎりを作って試験当日のランチとして持参していました。
また、フロントの横にちょっとしたお菓子や飲み物を扱う売店がありますが、早めに行かないと売り切れてしまいます。ちょっと離れますが徒歩圏内にgrocery storeがありますので、そちらを利用するのもありです(Buffalo自体治安があまり良い地域では無いですので、明るいうちにいきましょう)。
②勉強スペース
ディナーが始まる前であれば、一階のスタバとバーのエリアの机を利用することができます。また、ホテルの2階に自習室が設置されます。Hyattは客室がそんなに広くなく、暗めなので、息抜きに利用するのも良いかと思います。
(2) Embassy Suits by Hilton Buffalo
Hyattから2ブロックほど離れたホテルです(最寄りでは無いですが、十分近いです)。Hyattと比較すると客室も広くて綺麗です。Hyattのような試験セットのサービスはありませんでした。
①食料の調達
ホテルの一階には、バーと併設のレストランがあります。ちょっとお高めですが、ホスピタリティは高めでした。ホテルの中にスタバはありませんが、1ブロックほど離れたところにスタバを含めいくつかカフェがあります。
②その他
Hyattのような勉強スペースなどはありませんが、部屋の中に広めのテーブルがある点が高ポイントでした(部屋によるかもしれませんが、、、)。
3.試験本番
(1) 試験会場
①持ち込めるもの
試験に必要な鉛筆、鉛筆削り、青or黒のペン(MEE/MPTのある初日のみ)、受験票(Seat Tickets)、IDのほか、以下のものを持ち込むことができます。
・ペットボトル(Hyattのフロントでもらったのをそのまま持っていく人が多いです)
・耳栓(必要な方はCVSなどで調達しましょう)
・ティッシュ
・音の出ないお菓子
・クレジットカード/現金
・ホテルor車のキー
以上のものを1つのクリアバックに入れて持ち込むことになります。本当に良いのかわからないですが、お菓子は別の小さなバックに入れて持ち込んでいる人が多かったようです(私もそうしていました)。また、バナナを持参している人やリンゴをかじっている人もいましたが、特に注意されている様子はありませんでした。
また、クレジットカードを持っておくと、お昼休みにHyattのスタバでコーヒーを買うことができます。
②セキュリティチェック
初日は、セキュリティチェックの関係上、8時までに会場に来るよう指示があります(私は8:15頃に到着しましたが、まだまだ並んでいました)。初日のセキュリティチェックでは、受験生であることの確認とその証明としてリストバンドを付けてもらうプロセスもあります。
リストバンドは試験期間中付けている必要があり、シャワーもそのまま浴びる必要があります。
③控え室
試験会場に持ち込めない荷物を置いておく部屋が複数箇所設置されていました。直前に確認したいテキストや携帯、持参したランチなどを置いていくことになります。混みますが床に座って勉強することも可能でした。また、お昼をそこで食べている受験生もいました。
④会場の雰囲気
・座席
がらんと広い会場に机とパイプ椅子、電源タップが設置されています。受験生同士の距離は十分離れていますので、パソコンや問題冊子だけで十分な方にとってはあまり気になることは無いかと思いますが、キーボードやマウスを持ち込まれる方にとっては狭く感じられるかもしれません。
席に座ってパソコンのセッティングが終わると、隣の受験生と雑談するかトイレに行くくらいしかやることがありません。パソコンでsmart bar prepを見ている人も見かけましたが、多分NGな気がします。
・時計が少ない
Buffaloは、時計が会場の一番前にしか設置されていないため、視力が悪いと後ろの席からは見づらそうです。また、試験官が巡回しているため、ブロックされて見えないことがあります。席の位置は完全に運なので、MBEの回答スピードが遅い方は時間管理に要注意です。
・冷房強め
ガンガンに冷房が効いていますので、夏ですがパーカーが必要でした。座席によっても異なるようですが、寒がりの方は防寒した方が良いかと思います。
・トイレが少ない
試験会場内は、男性用・女性用1つずつしかトイレが無く、女性用は時間帯によっては長蛇の列になります。女性受験生の一部は、男性用のトイレに突入したり、厳密にはダメな時間帯(試験問題の回収中)にトイレに行ってみたりしているようでした。
・ウォーターサーバー
試験会場の後ろには一定間隔でウォーターサーバーが設置されています。水をよく飲む人は、休憩時間などにペットボトルに水を補充しているようでした。
(2) 試験開始前
開始前の時間に、試験官がIDと受験票の確認、本人であることのサインや”私は不正しません”という旨の宣言を自筆することが求められます。トイレで離席中する受験生も多いせいか、試験官もあまり厳密にチェックしていない気がします(自己責任ということでしょうか)。記載する内容がわからない場合は、遠慮せず手を挙げて近くの試験官を呼びましょう。
※2日目の違い
2つ目は、MBEのため電源タップが撤去されています。また、マークシートに名前などを記入する作業が発生します。また、マークシートの裏側に全体アナウンスで読み上げられる英文を記載する必要があります。トイレで離席していたり、ぼーっとしていて聞き逃しても大丈夫です。落ち着いて隣の受験生か試験官に聞きましょう。ソーシャルセキュリティナンバー(SSN)の下4ケタを書くよう指示があり焦りますが、SSNを持っていなかったり、覚えていない場合は記載しなくて良いはずなので、心配する必要はありません。
(3) お昼
午前中の試験終了から午後の試験開始まで1時間30分ありますが、試験問題の回収や集合時間の関係で実質1時間弱しかお昼に使えません。
ランチボックスを事前に申し込んでいる人は、ランチ会場の近くで受け取るようです。ザ・アメリカンな内容なので(サンドイッチ、チップス、りんご)、苦手な方は予め準備して控室に持ち込むことをお勧めします(カロリーメイトみたいので十分という方であれば、会場内持ち込みのクリアバッグの中に入れちゃうこともできます)。ランチ会場は、宴会テーブルがたくさん並んでいて、空いている席を見つけて座るスタイルです。
Hyattに宿泊している人の中には、自分の部屋に戻る人もいるようでしたが、エレベーターが非常に混み合うため、どちらが自分に合っているか要検討かもしれません。ランチ会場に入れば、時間になると試験会場に戻るようアナウンスされるので、その辺りは気を遣う必要が無くて楽でした。
(4) 夕ご飯
Uber Eatsを利用する人は、早めに手配しておきましょう。みんな同じことを考えているためか、なかなか到着しません。
4.試験終了後
観光に行く人が多いようです。日本人の定番はナイアガラの滝だと思いますが、他にも色々とあります。
(1) ナイアガラの滝
日本人に限らず、定番コースのようでした。7月だとまだ外は明るいですし、夕方から夜に行く人もいるようです。とはいえ、試験終了後に行くには少し時間が足りないですし、何より疲れているので、ナイアガラの滝は翌日に回し、ご褒美に美味しいご飯を食べ、ホテルでゆっくりと休むのが良いかもしれません。
滝の入り口に観光案内所(?)があり、おすすめの散策コースを教えてくれます。
ちなみにナイアガラの滝はカナダ側から見る方が人気があるようなので、時間がある場合はカナダ側に行くプランを立てるのも良いかもしれません。当然ですがパスポートが必要なので注意しましょう。
(2) Buffalo市内観光
ナイアガラの滝と組み合わせている方がいました。7月でしたら季節も良いですし、散歩するのも良いと思います。何があるのかと言われると、あまり何もありませんが。。。
(3) New York観光
翌日には、Buffaloから早々に旅立ち、マンハッタン観光に繰り出す方もいました。午前中にナイアガラの滝に行き、午後の便でNYという方が多いかもしれません。
(4) カナダ観光
カナダに近いため、そのままカナダに入国してカナダ観光をすることも可能です。カナダ側に渡る橋が2本(1つはナイアガラの滝)あり、歩いてカナダに入国するという非常に珍しい?体験をすることができるようです。Uberですと運転手がパスポートを持っていない可能性が高いため、歩いていくのは。。。という方は、ちょっとお高いですが、ハイヤーのようなサービスがあるようです。
なお、試験会場から近い方の橋から入国すると、カナダサイドでUberを捕まえるのに苦労する可能性がありますので注意が必要なようです。