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床屋の穴/『シャドウラン 5th Edition』コラム01

01 前口上


 この記事は新紀元社から発売されている『シャドウラン 5th Edition』日本語版(以下SR5J)ユーザーに向けた雑文です。 
 記事の閲覧・利用に関する前置きは下の記事を参照してください。


02 みんなちがって、みんないい


『シャドウラン』は多様性を保証するゲームです。すべてのルールや設定は、ゲームマスターが自分の好みやプレイグループの志向に合わせて変更できます。また、伝統的に大きくゲーム・バランスを変える選択ルールが存在し、ユーザーがそれぞれの好みに合わせてバランスを調整することが推奨されてきました。

 データが多い、ルールが多い、設定が多いとよく言われる『シャドウラン』ですが、原則としてGMは知らないルールや設定は存在しないものとして扱って構いませんし、仮に矛盾したとしても「第六世界ではよくあること」となかったことにしても、こっそり矛盾を修正しても、新たな事実が明らかになったことにしても構わないのです。
 雑誌記事でも何度か触れましたが、ルール自体も「技能値と能力値を足してダイスプールにして、3ヒット出たら成功」くらいのアバウトさで処理してもいいのです。しかし残念ながら、こういうノウハウ的なものは既に何度も遊んでいるユーザーの間でしか共有されず、ルールブックの分厚さに尻込みしている初心者の元にはなかなか届かない様子です。

 もっと『雑』に扱っていいもののはずなんですよね。

 そんな訳で、このコラムやハウス・ルール集などでは、僕が普段どれだけルールや設定を魔改造して遊んでいるか、どんどんバラしていこうと思います。


03 オンライン・セッション向けのセッティング


「オンライン向けの調整」「続・オンライン向けの調整」では、今年5月と9月のTRPGフェスティバル・オンラインなどで使用したルール調整を紹介しました。


 これらの調整案の狙いは単純で、「GMが覚えていなければならない情報を少しでも少なくしたい」というものです。NPCが既に行動したか、簡易動作を使用したか、防御したかなどを覚えているのは難しい。特にオンライン・セッションでは、手元のメモにさっとチェックを入れるという動作自体が面倒になったり、つい忘れてしまうことが多いです(たぶんそういうのが得意な人もおられるのでしょうが、僕には無理でした)。

 憶えていられないなら、憶えなくていいルールに変えよう、という訳です。

 実際のセッションでは、これらの調整に加えて「イニシアティブ・ルールの変更」(RG4)を加えていました。これは『ラン&ガン』p.108に掲載されている選択ルールで、「イニシアティブ・パスを廃止し、すべてのキャラクターがイニシアティブ順に行動する。行動したらイニシアティブを-10して、一番イニシアティブの高いキャラクターが手番を行なう(同じキャラクターが連続して行動してもよい)」というものです。

 イニシアティブ・パスがあると、イニシアティブの低いキャラクターにも順に手番が回るため公平なのですが、その一方で「次に誰が行動するのかが分かりにくい」という問題がありました。その点、この選択ルールはとにかく「分かりやすい」。これはとても重要なことです。

 もちろん、イニシアティブの高いキャラクターが活躍しすぎるとか、一度全力防御などでイニシアティブを下げてしまうと、たたみ込まれてしまうとか、そういうデメリットはあります。ただ、キャラクターを自作できるのであれば、あらかじめそういうバランスだと周知しておくことで、プレイヤー自身にバランスを調整してもらえます(普通、このルールでわざわざイニシアティブを低く抑える人は、そもそも戦闘で活躍できなくてもいいと思っているはずです)。


04 王様の耳はロバの耳


 今後も、『シャドウラン』をどうイジって遊ぶかの話をゆるく、不定期に続けていきたいと思います。雑誌記事はどうしても真面目になってしまうので、こちらでは肩の力を抜いて、気楽に「王様の耳はロバの耳」とつぶやきたい。

 ここはそんな「床屋の穴(Barber's Hole)」として棲み分けて行こうと思います。未訳のサプリのデータを活用する話とかもしていけたらいいですね。

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