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報酬の調整/『シャドウラン 5th Edition』ハウス・ルール08
01 前口上
この記事は新紀元社から発売されている『シャドウラン 5th Edition』日本語版ユーザーに向けた、「非公式」のルール調整案(Tweaks)です。
記事の閲覧・利用に関する前置きは下の記事を参照してください。
02 報酬の調整
『シャドウラン 5th Edition』ではシステム上、カルマ1点=2千新円のレートでサイバーウェアなどの値段が決められています。しかし、キャラクターにとっての新円の価値は一定ではありません。一般的に、新円の価値はキャラクター作成時が最も高く、作成後、セッション数が経過するごとに下がっていきます。
例えば、ストリート・サムライのキャラクターが自身のサイバーウェアをもっとレーティングの高いものと交換したい、と考えたとします。『シャドウラン・ミッションズ』ではインプラントのアップグレードは差額の1.2倍を支払うこととされていますが(『ファイアリング・ライン』p.79)、この時点で新円の効用は80%に下がっていることになります。実際には、エッセンス・コストとの関係でより等級の高いサイバーウェアに換装する必要があったりして、効用はさらに下がります。
つまり、作成後のキャラクターにとって、新円の価値はカルマに対しておしなべて低くなります。これはイニシエーションやサブマージョンのために多くのカルマを必要とする覚醒者やテクノマンサーにはより顕著になります。もし、キャラクターが「カルマを使っても新円を使っても同じ程度に成長するようにしたい」と考えるなら、GMはルールブックp.379の「現金報酬」を1.5倍~2倍程度に増やす必要があります。
■報酬ルールの調整
SR5J,p.379の「基本報酬」を4,500新円または6,000新円に変更する。
一方で、単純に現金報酬を増やすと、テクノロジーに依存しないタイプのキャラクター(ストリート・シャーマンやフィジカル・アデプトなど)は新円を持て余し始めます。チームのためにヴィークルを買ったりしている内は良いのですが、チーム内で「貸金業」を始めてしまうのは問題です。少なくとも、このキャラクターはルール上正しく報酬を受け取っているとは言えません。
03 「急ぎの仕事」と「世のための仕事」(Shadowrun Missions FAQより)
『シャドウラン・ミッションズ』では、様々なスタイルのキャラクターに対応するため、カルマと新円のバランスをプレイヤーが調整できるようにしています。
■急ぎの仕事(Work for the man)
カルマを消費して新円を得ます。これは、キャラクターが汚れ仕事や淫らな仕事、あるいは単に詰まらない、魂を切り売りするような仕事に就いていたことを表します。
『ミッションズ』のミッション・カレンダー(『ファイアリング・ライン』p.77)では1週間を消費し、最大5点のカルマを新円に交換できます。交換レートはシカゴ・ルール(シーズン5~8)では1点あたり2千新円、ネオ東京ルール(シーズン9~12)では1点あたり1千新円です。
前述の報酬調整ルールを使用している場合は1点あたり2千新円とすることをお勧めします。
■世のための仕事(Work for the people)
新円を支払ってカルマを得ます。これは、キャラクターが「世の中をよくするためのシャドウラン」を行ったり、炊き出しをしたり、その他のボランティア活動をしたことを表します。
『ミッションズ』のミッション・カレンダー(『ファイアリング・ライン』p.77)では1週間を消費し、新円を最大5点までのカルマと交換できます。交換レートはシカゴ・ルール(シーズン5~8)では2千新円で1点、新東京ルール(シーズン9~12)では4千新円で1点です。
前述の報酬調整ルールを使用している場合は5千新円で1点とすることをお勧めします。
どちらの「仕事」も、一度行ったら次のシャドウランをこなすまで、新たにカルマと新円を交換することはできません。