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反動をなくしてみよう/『シャドウラン 5th Edition』コラム06

01 前口上 

 この記事は新紀元社から発売されている『シャドウラン 5th Edition』日本語版ユーザーに向けた雑文です。
 記事の閲覧・利用に関する前置きは下の記事を参照してください。


02 射撃モードと反動の話

 第4版(および20th Anniversary Edition)から変わったルールのひとつに、防御テストが【反応力】+【直観力】と再定義されたことが挙げられます。  なぜそうなったのか? というと、これには射撃モードと反動に関わる長い話を読み解かなければなりません。

  元々、第4版ではバーストやフルオートによる射撃で「ダメージを増やすか、相手の防御にペナルティを与えるか」の選択肢がありました。これ自体は実に悩ましい選択であったものの、射撃ルールを重くしている要因のひとつであり、初心者にとって大きな負担となっていたのは事実です。
 第5版では、これが「相手の防御にペナルティを与える」に統一されました。同時に、短バースト、長バーストと分かれていたものが「単純動作か、複雑動作か」に統一されて分かりやすくなりました。
 理論上、相手の防御DPが充分に多い場合、相手の防御に-3のペナルティを与えることは、ダメージを+1するのとほぼ同じです。そこで、第5版では防御テストに【反応力】だけでなく【直観力】も加え、全力防御を選択しなくても常に防御できるようにしたことで、「ダメージを増やすのもペナルティを与えるのも実質同じだから、射撃モードの効果はペナルティに一本化する」ことにした訳です。
 

 ですが、ルールの選択肢を減らすと言うことは、キャラクターが取る行動の選択肢も減るということです。新しいルールでは単純にフルオート武器が強力です。以前の防御ルールであれば、セミオートで単発火力の高い銃やバースト可能な銃でも充分だったのですが、新しいルールのもとでは「とにかく弾をばら撒かないと当たらない」ためにフルオートが選択されます。
  そのため、「ずっとフルオートで撃ち続けられない」ように反動ルールが改定されました。反動は行動フェイズをまたいで継続することになり、複雑動作のフルオートを二回続けるのは難しくなったのです。たいてい、「狙いをつける」→「単純動作フルオート」を繰り返すようになるため、2回目以降の射撃では防御テストへのペナルティがずっとマイルドになります。

  FPSゲームの世界では、銃器を細かくカスタマイズできるゲームが人気を博していますが、『シャドウラン』もまた、伝統的に銃器のカスタマイズにどこまでもこだわれるゲームとして愛されてきました。しかしその代償として、射撃モードや反動のルールがわかり難くなっているのは否定できません。第5版は銃器へのこだわりは残しつつ、理論的に簡略化可能な部分は思い切って簡略化するという思想で設計されていることが分かります。

 ……その一方で、「反動ルールをそもそもなくしたい」というような、ユーザーの側からは「ちょっとしたリクエスト」でも、実際のルールに落とし込むためにはシステム上の大改修になってしまう、という問題が新たに生まれる訳ですが。


03 反動をなくしてみよう 

  実のところ、プレイヤーに銃器へのこだわりが特にないなら、反動ルールを取り除くこと自体はそこまで難しくありません。なぜなら、ほとんどのプレイヤーは「反動がなくなるまで反動補正を積む」からです。

  ゲーム・バランス上の問題が「複雑動作フルオート」にあるならば、「複雑動作による射撃は2回連続でできない」とか「そもそも射撃は全部単純動作のみ」とすることで、反動の継続ルールを省略できます。

 また、セミオートの銃で3点の反動補正を得ることも、バーストの銃で6点の補正を得ることもほとんどのケースで可能なため、複雑動作フルオートと反動の継続(ついでに二丁射撃ルール)を除外するなら、プレイヤーが反動修正を意識する場面はほとんどありません。あらかじめ、反動補正の充分な銃のデータさえ用意しておけば、初心者プレイヤーに反動の説明をしなくても済みます。

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