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”2017年中国小売企業100社番付”&”新零售(NewRetail)“

 「2017年中国小売企業100社番付」(中国商業連合会)が発表されました。これを題材に、中国における最新の小売事情、「ニューリテール」について紹介します。

(1)中国No.1の小売企業はアリババの「天猫」で売上額約35兆円
 中国商業連合会が6月下旬に発表した「2017年中国小売企業100社番付」によると、上位100社の売上総額は約6兆800億元(約100兆円)で、前年より26%増加しました。番付上位の売上額は、1位「天猫」約2.1兆元(約35兆円)、2位「京東」約1.2兆元(約19兆円)で、この中国二大電子商取引(EC)企業が100社番付の売上合計額の半分以上を占め、大きく存在感を発揮しています。中国全体の小売総額を示す社会消費財小売総額は前年比10.2%増の約36兆元(約600兆円)で日本のGDP総額を超える結果となりました。
 なお、外資企業は、7位に台湾の大潤発(総合スーパー)、8位にアメリカのウォールマート(総合スーパー)等、計21社が番付入りしました。内、日系企業では、53位にイオン(ショッピングモール等)、74位にファミリーマート(コンビニ)、96位に成都伊藤洋華堂(総合スーパー)の計3社が番付入り。3社の売上伸び率は、番付入り外資企業の平均(6.8%)を上回り、それぞれ20%、24.1%、7.8%と数字上は大きな伸びを見せています。しかし実感としては、ECの拡大に押され、実店舗中心の外資企業全体の存在感はどうしても小さく見えてしまいます。

日系最上位は、永旺(イオン)。ショッピングモール、総合スーパー、コンビニ等の中国で合計約400店舗を運営。

(2)アリババ総裁馬雲(Jack Ma)の提唱する「新零售(ニューリテール)」とは
 このようにECの強さが際立つ中国の小売事情ですが、足元では大きな地殻変動が起こっています。2016年10月、「天猫」を運営するアリババ総裁の馬雲は、同社のイベントで「まもなくECの概念が消滅し、今後は、新零售(ニューリテール) の時代が到来する」と発言しました。「新零售(ニューリテール)」とは、ビッグデータ、モバイルインターネット等の技術の発展によるECと実店舗販売の統合を意味します。「新零售(ニューリテール)」の先駆けとも言えるアリババが運営する生鮮スーパー「盒馬鮮生」※1は、2016年1月に上海で開業した後、瞬く間に拡大し、現在までに全国各地67店舗を展開しています。また、アリババの持つビッグデータ、流通システムの支援が得られる同社のコンビニ事業「天猫小店」は、中国各地に600万店以上あると言われる家族経営の零細小売店に加盟を促することで拡大を目指しています。こうした動きは、業界第2位の「京東」が同様に生鮮スーパー、コンビニ事業に着手し、またテンセントも大手スーパー「永辉超市」に出資し、「超级物种」※2を立ち上げる等、他のEC企業にも広がっています。
 かつてECの拡大によって中国の小売事情が一変しましたが、今は更にこれに続く新たな変革が進行しています。「新零售(ニューリテール)」の動きから目が離せません。

※1盒馬鮮生(he ma xian sheng)
実店舗であると同時にEC上の物流倉庫の役割を果たすのが特徴。天井には注文商品を外の配達員に運送するレールが設置され、店舗3km圏内には30分以内に無料配達する。日本産等の輸入品も多く取り扱っている。

※2超级物种(chao ji wu zhong)
盒马鲜生がアリババが出資したのに対して、こちらはテンセントが既存の大手スーパー「永辉超市」に出資し、立ち上げたブランド。盒馬鮮生と同様に、同じく無料配達サービスがあるが、こちらは微信(WeChat)のミリプログラムと連携し、レジそのものがない店舗がある。


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