気の確認
体調が優れない時や精神的に参っている時に「元気がない」という表現を使いますが、気が集まって人間の生命活動を行っているのですから、当然その状態では気の巡りが悪いことになります。逆に調子が良い時や気分がいい時などは「元気が良い」と言います。気が充実してそれが外に発露している状態です。注意して頂きたいのは、日本語の元気はそういった身体全体を構成する精・気・神全てを指して言いますが、中国語の元気とは生まれ持った気という意味になり、先天の気とも呼ばれます。食事や採気で得た気は後天の気と呼ばれ区別されます。
つまり、普段の生活から気によって健康状態や精神状態が左右されていることが分かります。
これを体感するのは非常に簡単です。両手を合掌の状態にして5~6センチ離した状態で労宮と呼ばれる掌の中央近くのツボに意識を集中します。そうしますと掌同士に熱感や圧迫感、風のようなものを感じます。これが気です。これを続けていくと自然と掌同士が近づき、くっついてしまいます。これは、気を出している右手と左手がどちらも同じ人の気なので共鳴するからです。
次に掌を熱くなるまでよくこすって身体の冷えている場所に当ててみましょう。一般的に気の鍛錬をしていない人は上実下虚になりやすいので、掌を膝やふくらはぎなどに当てると良いと思います。そうすると温かい掌から冷たい部位に対して何かが流れているのを感じると思います。そうしてしばらく当てていると冷たい部位が段々温かくなっていきます。これは熱力学第二法則同様、気が多い方から少ない方へ流れるからです。
次は朝早く起きて、日の光を浴びて大きく伸びをしてみましょう。新鮮な空気と暖かな光に包まれて気分が爽快になりますよね。これは気が体内で循環していることを意味します。逆に気分が優れない時などは、身体が重く、沈んだ状態になります。これは気が淀んでいるからです。精神疾患の方、特にうつ病の方は朝日を浴びることを勧められています。これはうつ病が単なる怠けや気持ちの弱さから来ているのではなく気がきちんと循環していないことに起因しています。
若者達と一緒に何かをすると気持ちが高揚して若返った気がします。また、日々の生活が充実している人と接すると圧倒される感覚がし、優しい人と接すると心が安らぎます。
同様に病気がちな人と接すると身体が冷えていきますし、普段から怒っている人と接するととげとげしい気分になりますね。これも気が相互作用して感応している証拠です。ちなみに狐憑きやテレパシーも気の作用ですので、仙道を修める上で起こることがあります。
日本語にも「気」という文字が入った言葉を多く使っていますが、これらは気の性質や作用を表す言葉がたくさんあります。大陸文化の影響で日本文化に残っているという言い方が正確でしょうか。病気、元気、根気、平気、気質、気力、気落ち、気がかり、気が合う、気が散るなどなど。日本人は心の働きに関するものだと思っているものも、気の集散及び相互作用に拠るものが多いです。
これらから、気は万物を構成するという意味が単に物理的な意味合いだけでなく、精・気・神全てが合わさって構成しているからです。その為、気の在り方は身体の状態だけでなく、心や精神の状態にも関与して集合・離散・変化するのです。
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