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🍑#1 天国標本通信(2024.12.1)
11月末、久しぶりに大きな波に呑まれ、自分で自分の心身をコントロールできないくらいに溺れ沈んだままだった。
場所を問わずぽろぽろ泣いたり、自分の人間として生きるスペックの低さに落胆して眠れぬ夜が続いたり。そんなまま12月に流れ着いてしまった。
生きる糧が8日の日記祭しかないくせに、準備はまったく進んでいない矛盾に自己嫌悪が深まる。なにかに猛烈に縋りたくなって、半ば強引にスマホを引き寄せると、シンガーソングライターの美波が「水中リフレクション」をあと10分後ほどでyoutube公開することを知る。この曲はもう何年もライブか配信でしか聴けなかった曲だった。こんな溺れそうだった夜に公開されるなんてドラマチックすぎるよ。
都合のいい世の中ですね なんて苦しいの 水中よりも苦しいよ
信じるほど裏切られるのです そうやってできてるんです この世界おかしくないですか?
「水中よりも苦しいよ」、呪いだった学生時代にお風呂に入る度に反芻していた歌詞。物理的苦しさよりも、どうして人間が人間に苦しめられて酸欠しそうなのかと悔しくて悲しかったあの頃を思い出す。あの頃よりと比べるとわたし全然苦しくないじゃんと気づいて、水中から這い上がらないとと気が引き締まった。少し頭の湿度がゆるまった頃を見計らって眠りにつく。
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そして朝出勤する。完治までとは行かなかったけどそれなりに上手く心身は機能した。都合よくすべてが上手くいかないことはもう知っているから期待はし過ぎない。
退勤するとロッカーにおやつと手紙が潜んでいた。長まった不安定に突き放すことなく、隣で付き添ってくれていた友人からだった。主張せずにでも確かに支えであるおやつと彼、なんだか似ていて嬉しくなる。彼曰くこの世でいちばん美味しいおやつを供えてくれた。そういえば彼がdmで「人間は人間を裏切るようにできているのに、人間は1人では生きていけないようにつくられていてバグ」と言っているのを思い出し、水中リフレクションの歌詞みたいだと思った。そうするとなにか腑に落ちるような感覚に陥って、急に大丈夫かもしれないと思った。
水中リフレクションと彼のおかげで現実に引き戻された気がしたのだ。
私にはこういうところがある。精神的にしんどい時、誰に何を言われても本質的な回復はしないくせに、自分で自分が納得できることだけ咀嚼をつづける過程でどんどん靄が晴らしていくようなところが。その咀嚼をする栄養を色んな人から摂取するため、どんなにしんどいこともしんどいと人に話してしまう癖が私にはある。
それともう1つ気付いたのが、人から傷つけられた外傷よりも、自分が自分に傷つけた自傷にしっかり苦しめられている。
人に何を言われても(クレームとか悪口)驚くほど傷つけないし、大概のことは眠れば忘れてしまうのだけど、私が自分の嫌汚い部分を発見したり自己嫌悪を溜めこむとだめになってしまう。完治までに時間を要する重症だ。
自分勝手に傷つけられて、自分の解釈でしか回復できない、面倒くさい人間に育ってしまった。でもこの気づきは今後おおきな波に立ち向かうために必要な栄養だとも思う。人間を生きるのは難しくて嫌いだけど、自分を操縦して生きるのはそれなりに興味深くて愉しめている。変な感覚だけど生きる理由は「自分を攻略する」それでもいい。そう思えた日であった。
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