
品品さんの歌
先週土曜日、初めて品品さんのライブに行った。
この日は夕方から突然雨が降り出して、風も冷たかった。
品品さんの曲を聴き始めたのは、ちょうど一年くらい前だろうか。
まさか自分の好きな本屋さんでライブをされるなんて、嬉しい予想外だった。
品品さんの歌声とギターとハーモニカの音色は親しみやすくて心地好くて、ずっと聴いていたかった。
音響機材は使われてなさそうだったから、なおさら温かみを感じられたのかも知れない。
「オレンジジュース」が特に好きで、聴けて嬉しかった。
MCでも、品品さんの世界観は炸裂し、皆たびたび笑っていた。
ホテルで己を缶詰にして執筆を試みた話が面白かった。
見慣れた猿沢池の風景、次来た時にはちょっと違って見えるだろうか?

歌と演奏を通じて、行ったことがない街や会ったことのない人の顔が浮かんでくるようだった。
なぜか懐かしい気持ちが湧き上がってきたし、自分の中でまだ形にもなっていないモヤのような感情に色が足されていくようでもあった。
品品さんの曲は、ぱきっとした青空というより、晴れ間が時々のぞく曇り空みたいだ。
どんよりして雨が降り出しそうな雰囲気もあるけれど、最後は雲が割れて小さな青色が見える。
ただ素直な気持ちで淡々とやりたいだけなのに、気付いたら自分のことばかり考えてキリキリしている今日この頃。
心に降り積もった埃が、いつの間にか重荷になっていく。
それを、品品さんが歌で冬空に放り投げてくれた気がした。
素敵な夜だったな。


一年の終わりがずいずい迫ってくる。
そうだな、あとは部屋の掃除でもしておこうかな。