【書き出し用】年単位で放置された18禁_二次創作の続きを書こう2_薄桜鬼_狂咲鬼哭_4
「私は……風間さんに、幸せになってほしかったからっ」
なのに風間は千鶴を見つけ、千鶴も結局流された。
鬼の力を使い、この男を拒絶することもできたのに、気づけば風間の手を取り、我が身を託してしまったのだ。
八瀬姫の館から千鶴を攫うということを、八瀬に連なる男と婚姻を結ぶ鬼姫を、風間は攫うという大罪を犯してしまったのだ。
花を盗むのとはわけが違う。新選組から千鶴を攫おうとした時とは時代も状況も立場も違う。
「……俺もお前も結局は同じだな。自分の幸福に価値を見出せないところがな」
「え?」
風間の言葉の意味が分からず、千鶴は聞き返す。
すると風間は意味ありげな不敵な笑みを浮かべると、千鶴の細い顎をくいっと持ち上げた。
湯上りとはいえ、千鶴の身体から花のように清らかで甘い香りがする。どこか懐かしく、安らぎを感じさせる蓮の花を連想させる香りだ。
風間は愛しい人の香りに酔いながら、口角を釣り上げた。
「すべては幸せを願えばこそ、か」
「つづく」