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8/31_執筆制限時間10分小説_【221 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く
男は米田と名乗った。米田は熱心な信者としての、すぐれた洞察力によって、葉山の簡単な自己紹介から回顧録の作者だと見破り、「話が早い」と葉山は自分の家に米田を誘った。
古民家をリフォームした一軒家だ。手入れをされた庭は広く、鶏が放し飼いにされている。葉山は米田を客間に通し、あらかじめ用意していた茶菓子とティーポットからお茶を出した。
「私はね、もうかれこれ彼とは何年も関わってきていないんだ。フィールドワークの一環として、君たちのような熱心なファンたちから、君たちから見て俊雄君はどのような人物なのか興味を持ってね。君はどのような経緯で、杉藤 俊雄こと美容系ユーチューバー【とっしー】に興味を持ったのか教えて欲しいんだよ」
普段の一人称を改めて、丁寧に対応する葉山はニコニコと好々爺の仮面を被った。その姿はまるで、遠くで暮らしている孫の近況を知りたい祖父のような姿だ。もちろん、そう見えるように意図した態度だ。
「お、おれ、い、や。わたしがとっしー様を知ってのは、とっしー様の動画がネットで炎上したのがきっかけでした」
いくぶん緊張が緩んだ米田が、経緯を語りだした。