8/29_執筆制限時間10分小説_【218 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く
空っぽな自分の身体に、熱っせされた油を注ぎこまれた日々だった。
そんな中で飛び込んできた、山中崎の山中から出てきた大量の人骨。見つけたのは保健所の職員であり、保健所で保護された犬猫を山に放っている途中で、放った犬が奇妙な骨を職員に持ってきたのが始まりだった。
つまり不祥事の最中に、職員は人骨を見つけ、動転して通報したのが流れだったらしい。
山中崎市は察処分ゼロを掲げていたのだが、コロナ禍のせいで陽性者や検査、対応だけでいっぱいいっぱいになった。動物の保護よりも人命が優先だ。たちまち収容所の許容量がオーバーして、餓死と共食いが発生したことで、これではヤバいと保健所は判断した。そこで考えた浅知恵が、県境に収容した犬猫の遺棄だ。B県の保健所に責任を押し付けて、自分たちは知らんぷりを決め込もうとしたのだ。
そこで職員が見つけたのは、大きくて深い穴だった。穴の中には冷蔵庫やパソコンなどの、処分に手間取るゴミたちが無造作に捨てられていた。つまり、不法投棄場だった。犬は得意げにゴミの間を潜り抜けて人骨をまた職員に差し出した。職員は、その場で失禁と嘔吐を同時にしたらしい。
投稿時間:9分57秒