【書き出し用】年単位で放置された18禁_二次創作の続きを書こう2_薄桜鬼_狂咲鬼哭_1
薫は祈るように目をつぶる。
ありえたかもしれない可能性に想いを馳せ、千鶴と風間が本当の意味で通じ合えたかもしれない未来を夢想する。
可能性は無限。そうでなければ、必死で生きていく意味がない。
かちりかちりと、遠くから不思議な音が聞こえて、暗闇の向こう側に温かい橙色の灯がついた感覚。
自分の内側に、しっくりとした手ごたえが伝わり、さらにその向こう側で、千鶴と風間が向かい会って話している情景をが浮かび上がってくる。
双子の片割れは涙をためて風間の独善を詰り、対する風間は千鶴の言葉を重く受け止めつつも、愛しい人をこの紅の瞳に映す喜びで心が満ちていた。
あぁ、よかった。
柄にもない感情を抱く己に、薫は美貌を曇らせた。
この役割が、千姫ではなく自分にある現実が、八瀬姫の権能が完全に働かない事実が、鬼にとっての救いのなさを物語り薫に告げるのだ。
――お前だけは、逃げるな。と。
「つづく」
公約として掲げていた、三番目のEDの話です。
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