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10/14_執筆制限時間10分小説_【283 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く
「僕たち、どうなっちゃうんだろう」
不安をそのまま口にするべきじゃない。だけど、できなかった。
漠然と、これが地獄の入り口だって分かっていたから。
出口のない洞窟に入り込んでしまったように、目に映る景色が黒く塗りつぶされて、自分がどこにいるのかすら分からず、ただ立ちつくすだけ。
「どうにもならねぇよ、俊雄。こういう、どうなるのか分からないときは、何かが起こってから行動したほうがいいぜ。俺たちはノストラのおっさんじゃねぇんだ。貴子さんみたいに、未来なんか視ることができねぇし、実際起きないことを考えてボロボロになるより、実際起きてから考えた方がいいと思うぜ」
「賛成や。確定していることだけ肝に免じていればえぇんや。ワテらがどう足掻こうとも、大人相手にどうしようもあらへんよ」
「確定していること……。公博が警察にいる。後輩を庇って物部君が頭をケガして病院。……これは、ぼくのせいだな。交代で裏庭を見回るようにお願いしたからだ。野球部の顧問はどちらにしろ責任を取らせないと」
「……そして、僕たちは、もうすぐ二学期を迎えなくちゃいけない」
投稿時間:9分50秒