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8/20_執筆制限時間10分小説【204 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く
先生は話し続けた。
僕たちが元の学校に通えるのは、早くて二学期……遅くて、中学の入学だと。僕たちが元の生活に戻るには、取り巻く世界の受け皿が機能していない――ある意味、事態の深刻さを物語っているようだった。
「君たちは、この病院を退院して、療養所で生活することになる。そこには学校の先生もいるし、家族の面会も許されている」
その五代先生の言葉に、僕の目の前がすっと薄暗くなった。明度の低くなった世界の中で、先生は僕たちのこれからを明瞭に話し、僕はその誤魔化しも嘘もない、明瞭な言葉の響きに、逃れることが出来ないことを打ちのめされる。
家に戻れない。元の生活に復帰できず、僕たちは家族と普通に会うことも許されない。弟にも妹にも、父にも母にも。なにもかもが、関係のない大人たちの決められて、自分たちが安心できるドールハウスに僕たちを放り出しす。
加害者が転校した程度ですむなんて不条理だ。加害者こそ、病院で頭を治療するべきだ。
熊谷をイジメていた奴らが、僕たちが遭難したことを仕組んだ奴らが、園生くんを壊した奴らが、別の土地でのうのうと普通に生活している。
許せるわけがない、許せない、絶対に許さない。何年かかってもいい、今回罪を逃れようとした学校関係者も含めて――いつか、復讐してやる。
生まれてきたことを後悔させてやる。
投稿時間:9分55秒