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9/12_執筆制限時間10分小説_【233 杉藤 俊雄(すぎとう としお)は××したい】続く

 え?

 と、僕の頭が白くかすむ。
 今の早瀬の匂いは、ハーブ系の優しい香りがするのに、ほんのわずかに冷たい土の匂いがした。その冷たさがまるで大きな氷に触れたようで、条件反射的に体中に鳥肌が立つ。

「早瀬くん、おかしいよ。友達って許可制じゃないじゃん」

 僕はなんとか話を逸らそうとした。早瀬からは悪意を感じない、だけど悪意を感じなくても、人は平気で他人を傷つけることが出来るんだ。

「ふふっーん。とっしーはめんどくさいやっちゃなぁ。まぁ、ワテ、とっしーに下心があるからしゃーない」

 僕の警戒心を読み取ったのか、早瀬くんは手の内をあかすように肩をすくませて、テーブルに肘をつき両手を蝶のようにひらひらさせる。

「おい」
「ん?」

 がしっと、早瀬の手首をつかんだのは向かいの席に座っていた大川くんだ。身を乗り出して、ぎりぎりと早瀬くんの手首をしめあげる大川くんは、顔を険しくして地を這う低声ですごむ。

「俊雄になんかしたら、ただじゃおかねぇぞ」
「んー。せやかてとっしーの後姿、美人やさかい。仲良くなってオカズにしたいわー」

 いや、ちょっと待ってよ。

投稿時間:9分55秒

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