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「境界」が生み出すちから ~マロナイト. レバノン.カトリック教会 in イスラエル~

8月は地中海沿いの街ハイファを訪れて、レバノン. カトリックの「マロナイト」の教会巡りをしたい、と計画していましたが、この度のイラン.ミサイル騒動で、特に軍事施設があるハイファはミサイル警戒対象地域となっていて、ことさらこの数日は近づくことができません...。


特にヒズボラという、イラン傘下.レバノンのテロ組織からのイスラエルへの攻撃が懸念されていますが、マロナイト教会の本拠地がまさしくレバノン...!現在、イスラエルとレバノンの国交はなく、マロナイト信者たちは国と宗教の板挟みにあった困難な状況の中で、信仰を積み上げて来ています。


私も十字軍のことを調べていくうちにマロナイト教会のことを知ったのですが、その歩みの複雑さに胸を掴まれる思いがしました。ハイファの街はもう少し北上すればレバノン、そしてイスラエル-レバノン国境近くにも、レバノン. カトリックであるマロナイト教会は多く点在しています。


エルサレムのマロナイト教会の信徒数は「70人」という、大変限られた数ですが、よりレバノンに近いハイファやイスラエル北部には何千人という信徒がいます。そんな中で、特にイスラエル北部はレバノンからのロケット弾が多く飛んで来ている状況。マロナイト教徒にとっては本国からロケットが飛ばされてきている状態です。


エルサレムのマロナイト教会。
レバノンの国旗が飾られています。


レバノンに住んでいたシリア正教会の司祭. 聖マロンが7世紀にビザンティン帝国に抗って後、聖マロンと彼に従った信徒たちはビザンティン皇帝から迫害にあい、レバノンの山に逃れて信仰を守り、11世紀のフランスからやってきた十字軍の時代にはカトリックの要素を取り入れ、シリア正教とカトリックの様式が融合された特異な教会となりました。アラム語、アラビア語、そしてフランス語が教会の中で交わされます。


マロナイト教会のミサ。
カトリックの典礼で、言語はアラビア語とアラム語。


その後も地域情勢に翻弄されながらも信仰を守り続けたマロナイト教会。イスラエルに住む彼らの様子がこちらで紹介されています(英語サイト)


https://youtu.be/o8ZlZdUMhO0?si=mjNWqKt3GKqS72u4


「境界」に存在することは、ともすればリスクが伴うこともあります。しかし、「ピンチはチャンス」の言葉のとおり、時にはドラスティックな変化を遂げて生き残っていく力を得る可能性もあります。



コミュニティとしては弱小なマロナイト教会は今、一触即発のイスラエルとレバノンの間に存在することで、大変重要な役目を担っています。


マロナイト教会の聖母子像。

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