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君たちはどう生きるか

「君たちはどう生きるか」のコペルと同じ年代の眞人を主人公に、宮崎駿のメッセージが伝わる映画。
戦時中の資産家と庶民とか都会と田舎の格差や、亡くなった奥さんの後添えに妹と一緒になる事が当時は普通にあったのだ、など今の若い人には多少わかりにくい点があるかもしれない。
しかしながら「今頃軍は大慌てだよ」と語る父は軍需産業で肥え太り、学校へ寄付し得意気なことなど、主人公・眞人の心情やこの時代の状況が画面から伝わるのは流石。
母が遺した「君たちはどう生きるか」を読み進み涙する眞人を抱きしめたい気持ちになりながらテンポよく話は進む。

後半、存分に宮崎ワールドのイマジネーションが広がる。
塔に続く道や森はもののけの、異世界は風の谷のようでもあり死の海に浮かぶ船は紅の豚、迷宮は千尋っぽく、火はカルシファ、木の骨組みを壊す大佐はカリオストロの時計塔(^^)。命が生まれる、命を頂く、メタファーが描かれるこの世界とあちらの世界。。。

ラスト。私は全てはエンディングの後に始まるのだ、と気づいた。
この後、眞人は母の遺した「君たちはどう生きるか」を支えに成長するだろう。戦争で利益を上げた父やその価値観とどう向き合って行くか、noblesse obligeを彼なりに消化して平和な未来を生きる友が持てるだろうか、と想像が膨らむ。
そうして、さて私はどう生きようか、どう歩けばこの世界が誰もが生きやすい世になるだろうか、と宮崎駿から宿題をもらった気分だ。
全体に語り過ぎないところがすごく雄弁。良い作品、宮崎駿らしさ満載の映画、たくさんの人に伝わるといいなあ。

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