2021/10/01 STUDY FOR TWOにロックスターはいない.
「もし,STUDY FOR TWOに全力を注ぐことのできるプロフェッショナルがいたらもっと良くなるかもね.」
これは私が最も尊敬している先輩に言われた一言だ.
この言葉は,これだけで見ると未来を描くための創造的な一言のように見える.
しかし文脈の上で読んだ時,これほどまでに悲観的な言葉はなかった.
「STUDY FOR TWOはプロフェッショナルが生きていけない.STUDY FOR TWOはプロフェッショナルが逃げていく組織構造だ.」
これはまた別の私が最も尊敬している先輩に言われた一言だ.
この言葉は,先ほどの言葉と全く同じことを述べているのだ.
「プロフェッショナルがいたらもっとよくなるのにね」という言葉は,「プロフェッショナルが逃げていく組織」にとっての最高の皮肉だった.
STUDY FOR TWOにはロックスターがいない.
ひとりで10人や100人のアウトプットを出せるような人がいない.
いたとしても逃げてしまう.
私は今,Netflixの組織構造について説明をする有名な著書「NO RULES」を読んでいる.
この本に描かれたNetflixの組織カルチャーはまさにSTUDY FOR TWOの組織構造と真逆を行く.
この本で一番最初に言われることがこれだ.
「無能は解雇しろ」
厳密にいうと,会社にまず大事なのは能力密度を上げることである.
そのために,10人の一般人を雇うくらいなら,1人で10人の仕事をできる人(ロックスター)を10人分の賃金で雇う方がいい.
それに値しない人は,退職金を包んでやめてもらう.
それによって,会社の能力密度を高めていく.
それが結果的に,会社の雰囲気ややる気につながり,ロックスターが最高に活躍できる組織をつくれるようになるというものだ.
一方で私が所属する組織STUDY FOR TWOではどうだろう.
私たちの組織は行っちゃ悪いが無能がマジョリティだ.
むしろロックスターなんて一人もいない.過去,ロックスターと呼べるような先輩は何人もいた.
始めに述べた先輩がまさにそんな人だった.
それ以外にも,一人だけで団体のプログラムを組む人や,会計についてのプロもいた.
しかし,彼らはみなやめていった.
各々に理由はある.
しかし,あえてそれをひとくくりにするならカルチャーとの相違だ.
私たちの団体は奇跡的なバランスで成り立っている.
私たちの団体のカルチャーはかなりサークル的である.
理念や達成目標はあるものの,それはうわべであり本質は
自身の楽しさと活動によるなんとなくの満足感を求める人が多い.
言ってしまえば,活動することが目標となっている.
私はこれをサークル的と呼ぼう.
そして,そんな組織には私を始めとした無能が多く集まる.
その理由は,活動を目的とするから無能なのだ.
活動を求める者にイノベーションは生まれないし,
そんなごく一般的な大学生活を楽しもうとする人々が優秀であるわけがない.
そして,せっかくロックスターが集まってもそんなサークル的な学生団体に嫌気がさしてやめていく.
別に大学にはもっと意識の高い学生団体はいくらでもあるのだ.
さらに,これだけネットコミュニティが盛んな現代,大学のコミュニティにこだわる必要はない.
みな離れていく.
そんな学生団体でも,なんとか11年続けられている理由は,理念と活動形態の特殊さ,先輩のやさしさによって自然成長の場があることにある.
私たちの活動の理念は驚くほどに優秀だ.そして使用済み教科書を回収して安価に再販売,利益を用いて途上国教育支援というこのシステムは優秀になりたい人,所謂意識高い系を引き付けるには十分な魅力を持つ.
そして,そんな意識高い系がこのサークル的なカルチャーによって楽しみながら,かつSTUDY FOR TWOの持つ出る杭は打たずに誉めて見守るというカルチャーによって組織はランダムに成長や存続を続ける.
その結果が今に至ったのだ.
しかし,今のままでいいのかというのが今最も考えられている部分だ.
今回のNetflixは一つの例だ.
学生団体として考えるとかなり極端な例だろう.
しかし,その極端な例の正反対の位置にいるのが私たちの組織であるということを見逃してはいけない.
別に私はNetflixに倣ってロックスターを集めろとは言っていない.
むしろその逆を唱え続けている.
私の論説については斜陽という文章を読んでほしい.
これは私が抱えるSTUDY FOR TWOの未来像だ.
サークル的な側面を,行動を目標とするではなく「人とのつながり」のみを引き継ぐ.強化する.
それによって,この人とのつながりが心理的安全性を高めイノベーティブな組織へと至らしめるという物だ.
これもまあ極端な例だ.
私は教科書販売回収を捨てろと述べる.
と今はSTUDY FOR TWOが今後どんなあり方の組織になって
どのような立ち位置を社会に築くかを再考するときが来ている.
それが今なのだ.
そして,それこそがブランドエクイティとなり,私たちSTUDY FOR TWOの持つ真なるブランドとなるのだ.
うわべだけの言葉を追うな.
このロックスターのいないSTUDY FOR TWOの在り方を再考しろ.