
モロッコ 10日目 悪臭が充満したバスで5時間のアトラス越え
モロッコ10日目。
朝は8時に起きて朝食。
今日はワルザザードから、世界遺産アイト・べン・ハドゥにタクシーで向かう。
乗り合いタクシーで安く行こうとしたが、アイト・ベン・ハドゥまで行く人が他にいないらしい。となると1人でタクシーを貸切ることになるので150ディルハム。高すぎる。わずか30分なのに。
でもネットで調べた情報によると、そこまで行って、待ってもらって帰ってくるのに300ディルハムらしい。となると片道150ディルハムは妥当なのかもしれないと思い、渋々支払う。
ワルザザードからアイト・ベン・ハドゥまでの道は本当に壮大で、遠くにアトラス山脈も見えて最高だった。

道中に、いくつか映画スタジオが見えた。

アイト・ベン・ハドゥ自体もいろんな映画に使われていて有名らしい。アラビアのロレンス、グラディエーター、ハムナプトラなど。
アイト・ベン・ハドゥに着き、川を渡って、メインのカスバといわれる遺跡に行った。

入場10ディルハム。遺跡ではあるが、数家族が住んでいるようだ。バックパックを背負いながらだったので、頂上まで登るつもりはなかったが、息を切らしながら結局カスバの一番上まで登った。
頂上からの景色は絶景だった。





この後は、ミントティーを飲み、乗り合いタクシーを捕まえて10ディルハムで途中の小さな街(Tabourahte)へ行き、そこでマラケシュ行きのバスを捕まえるつもりだった。
しかし、途中の小さな街(Tabourahte)について確認すると、マラケシュに行くには、どうやらもう一回ワルザザードまで戻らなきゃ行けないらしい。はぁ、一体何のためにバックパックを持って来たんだよ。それだったらワルザザードのホテルに預けておいたのに、、、。ネットで見たブログでは、ここでマラケシュまでのバスに乗れるってあったんだけどなぁ。最悪だ。何より、少しでも乗り物に乗る時間を減らしたかったのに…。
よって、一旦ワルザザートに乗り合いタクシーで向かうことに。1人30ディルハム。5人乗りなので、1台150ディルハム。ということは行きの1人貸切で150ディルハムも妥当だったのかなと思いながら、他の人が集まるのを待つ。20分くらい待ったら5人集まったので出発。
20分でワルザザートに到着。現在12時15分。
タクシーを降りたところから、CTMのバス停は遠いらしく、タクシードライバーは「30ディルハムでCTMまで送ってく」と言う。高いわ!といって交渉するも、実際どこにバス停があるかもわからないし、どれくらい離れてるかもわからないので、仕方なく30ディルハムで妥協。
CTMに着いて、マラケシュまででのバスを尋ねたら次は16時発らしい。それはさすがに遅いなと思って、近くのタクシーを捕まえて、Supratoursのバス停に送ってもらう。5ディルハム。すると着いた場所はなんとさっきタクシーを降りたところのすぐ隣。しかも、よく見渡すとそこにもCTMあるじゃないか!!と怒りながら、ぼったくられたなぁ、くそぅと思いながら、まぁ仕方ない、やっぱり情報不足はだめだなと思って。
CTM・Supratoursのバス停があるところから、わざわざ遠くのCTMに30ディルハムで連れていかれ、また同じ場所に5ディルハムで戻ってきたということ。
そこはいろんなバス会社が集合してる場所で、結局CTMでもSupratoursでもなく、出発時間が一番近かったAlmouというバス会社の13時のバスに乗ることにした。60ディルハムと安い。
ただマラケシュに着くのは18時。5時間もバスに乗ることになる。長い。泣きそう。
酔わないことを祈る。インシャアッラー。
マラケシュのホテルはなんとなく目星はつけてあるが、マラケシュはフェズよりも大きい迷宮都市なんで、そのホテルを見つけられるかはわからない。
そういえば、モロッコの乗り合いタクシーはグランドタクシーと呼ばれ5~6人乗れる。4人乗りの普通のタクシーはミニタクシーと呼ばれ、街によって色が違う。フェズは赤、シャウエンは青、ティンギールとワルザザードは黄色。それぞれ街のイメージにフィットした色だ。はたして、マラケシュは何色か。
バスの出発は、実際は13時半。遅れるのはよくあること。


今、ワルザザードとマラケシュのちょうど中間地点。どちらからも64キロ離れたこの場所で日記を書いている。
ここまで2時間かかった。時計は15時半である。20分間休憩タイムがあるらしい。正直しんどい。吐き気はないが。前の席のおばあちゃん、そしてもう1つ前のおばあちゃんが結構前半から吐いていた。みんな袋を用意していたようだ。僕もいつでも吐けるよう袋を用意している。
バスの天井が少し開いていて新鮮な空気が入ってくるものの、ゲロの臭いはバス中に蔓延している。僕はニット帽を鼻に当てて、フィルターにしている。バスの中でだれかの吐く音が聞こえてくるとなんとも言えない。バスの中でゲロは連鎖していく。
もらいゲロは怖いな。朝以降食べていないので、僕の胃の中には何も入ってないが。
途中でトイレに行きたくなるのが怖くて、長距離バスに乗る前には絶対にトイレに行くようにしているし、水分もあまりとらない。おそらく、僕が昨日頭痛があったのは、水分不足というのもあるだろう。今日も怖くてほとんど水を飲めていない。
おっと、少し座る姿勢を整えたら、近くの人のゲボビニール袋が見えてしまった。
そうだ、景色について話そう。アトラス山脈は非常に綺麗で、頂上の方には雪がある。木はほとんど生えていなくて、むき出しの裸の山がゴツゴツと脈々としている。もはや岩だ。スケールが日本と全然違って、裸の地球を見ているようだ。もちろん日本のは日本ので、緑で綺麗なのは確かだが。
バスの中じゃなかったら、もっとこの景色を楽しめたはずだ。
18時にマラケシュに着いた。もうバスの最後の方はあまりにも車内が臭すぎた。帽子でフィルターをしても無駄で、帽子だけじゃなくて、服にも臭いが染み付きはじめて、最悪だった。
バスを降りた途端、タクシーの運転手やトゥクトゥクの運転手がたくさんやって来た。みんな高い値段を吹っかけてくる。振り払うのがめんどくさい。
バス降り場から、フナ広場と呼ばれる有名なところに行きたかったのだが、地図で確認すると、歩いて25分くらいだった。歩けないことはないが、長距離バスの後だし、日が沈んでいたので、仕方なく誰かに任せることにした。
僕の目の前でタクシーの運転手とトゥクトゥクの運転手が、どっちが僕を乗せるかで喧嘩をしだした。よくあることだ。
僕がタクシーの運転手と話してみると、「フナ広場まで70ディルハムよこせ」と言って、全然まけてくれない。「他の安いタクシーを探すよ」と言ったら呆れてどこかへいってしまった。
その後、トゥクトゥクの運転手と話した。本当はドミトリーに泊まるつもりだったのだが、トゥクトゥクの運転手がフナ広場の近くで、150ディルハムのホテルを知っているというんで、任せることにした。
「トゥクトゥクとホテルの紹介料で合わせて60ディルハム」と言われたが、結局45ディルハムになった。ただ、フナ広場までは実際トゥクトゥクで10分くらいで20ディルハムくらいが妥当なのに、それ以上は全然まけてくれなかった。
ここのトゥクトゥクは軽トラの荷台とバイクをくっつけたようなもので、僕は「え、ここに乗るの?」と言って荷台に乗った。部屋のように天井と横は覆われているが、後ろはまるあきだ。説明が難しいが、進行方向に対して後ろを向いて座る。つまり運転手と背中あわせになる。
だから、道を走っていたら、後ろの車やバイクにめっちゃ見られて恥ずかしい。みんな僕を笑っていた。

ここで乗ったトゥクトゥクは、いわゆる東南アジアのトゥクトゥクと違い、軽トラの荷台に座らさせられるようなイメージ。
ところで、モロッコでは男女カップルがバイクで二人乗りをしていたり、手を繋いだりして歩いている。女の人も自転車や、バイクに乗っている。カタールでは全部ありえない。
フナ広場までの道中、トゥクトゥクから景色を眺めながら確信したのは、この街は確実に楽しめそうだ。エジプトのカイロに似た雰囲気を感じた。人が多くて、騒がしい。実際、夜のフナ広場に着いたときにはかなり興奮した。なんせ、本当にたくさんの人がいて、屋台がいっぱいあって、民族楽器の音があちこちから聞こえてくる。

ホテルはフナ広場から近く、自分だったらこんな場所絶対に予約しないなというくらいのボロさ。暗い路地に面したところにある。でも部屋はそこまで悪くなく、シャワーとトイレは共同。
モロッコでは、200ディルハムを出すと部屋にシャワーとトイレが付いていて、150ディルハムでシャワーとトイレは共同。100ディルハム以下はドミトリーという感じだ。
ホテルに荷物を置いた後、すぐにフナ広場に行った。わくわくしか感じなかった。
とりあえず、ジュース屋でグレープフルーツのしぼりたてジュースを立ち飲み。フナ広場はスークに面していて、スークを少し歩いた。いい感じのハンマームも見つけた。これは良さそうだ。また体調が良くなったら来よう。
そのあと、事前に調べてあった有名なレストランに行くことにした。ヒッチコックの『知りすぎた男』の冒頭はモロッコのフナ広場で主人公が事件に巻き込まれるところから始まるが、その主人公達がご飯を食べていたシーンのお店が実際にマラケシュにある。お店の名前はDar Essalam。
これもまた、フナ広場に面していてる路地の奥進んだところにあった。
かなり高級レストランと聞いていたので、もしタジンが200ディルハムであっても動じないでおこうと決心して、店に入った。

出されたメニューにはモロッコでは珍しくワインがあった。一杯100ディルハムとかだ。それはスルーしてオレンジジュースを25ディルハムで頼み(フナ広場の屋台で飲めば4ディルハム)、そしてケバブを頼んだ。串刺し肉だ。150ディルハムとかなり高い。でもタジンも150とかそれ以上だった。
良かったのは、店内で民族楽器の演奏とベリーダンスを見れたことだ。アラブで初めてのベリーダンスがこんな不意に訪れるなんて。ベリーダンスの後には、沢山の蝋燭を乗せた大きなお皿を頭に乗せた驚異のバランス力を持ったおばさんも登場した。

ちなみにメニューには、例の映画のシーンの写真があった。映画自体は結構古い映画なので、僕はそのフナ広場を想像していたのだが、実際のフナ広場は思ったよりも新しく?なっていた。

広場には沢山の人がいて、屋台にはそれぞれ番号が付いている。みんないかに自分の番号を覚えてもらうかで必死で、梅田の居酒屋の客引きのように声をかけてつきまとってくる。

他の街と同じように、みんな僕を見かけると「こんにちは!」とか「ありがとう!」とか「日本人!?」とか日本語で声を掛けてくる。
そんな中にも、かなり日本語ができる人がいて、何者だこの人は!?と思ったら、そうやら3年間大阪で日本語を勉強していたことがあるらしい。彼の友達も日本語ができるようで、その友達は日本にアルガンオイルを輸出する貿易会社を自分で経営してるらしい。
アルガンオイルは、アルガンという木の種子からできたオイルで、髪の毛、肌、顏、どこにでも使える。フナ広場なら100mlで30ディルハム程。
フナ広場をいろいろと歩き回った。KhunjulとかKhoudenjalと呼ばれる、様々なスパイスを混ぜたいかにも体に良さそうなドリンクを飲んだ。正直まずいが、風邪は治りそうな気がする。

ジュース釣りもした。ペットボトルのジュースが床に並べられてて、それを竿の先から糸でつるされた小さな重りの輪っかを、ペットボトルの蓋にひっかけることでジュースを釣り上げるというもの。とんでもなく難しくて、悔しいがギブアップして、10ディルハムを払った。
フナ広場で民族楽器を弾いているのは、ヤンチャそうな若者やおじいちゃん。またその前では、モロッコの伝統帽子をかぶって頭を回したり、踊ったりしている人たちがいる。
そんなグループが何十個も広場にあって、写真を撮ろうものなら、お金を取られる。つまり、iPhoneを向けたら、その瞬間に踊ってたおじいちゃんがこっちにやってきて、お金を入れるように帽子を突き出してにくる。
他にも小学生くらいの兄弟が、音楽を流しながら組体操をしていたり、ダンスをしたりと、いろんなパフォーマンスでお金を得ようとしている。梅田ロフト前のパフォーマーよりも、はるかにクオリティの低いグループがいくつもある感じだ。
そのあとも歩き回って、ジューススタンドでオレンジジュースを4ディルハムを飲んだり、お菓子の屋台で5ディルハムの甘い蜂蜜でコーティングされたお菓子を2つほど買って食べた。
観光客がほんとに多くて、日本人も何人か見た。
22時くらいで屋台を片付け始めたので、僕もホテルに帰った。
ホテルに帰っても、広場から音楽が聞こえてくる。かなり夜中まで。すごい活気だ。夜中だというのに子どもたちの声もホテル横の通りから聞こえてくる。この喧騒がたまらなく好きだ。

梅田の客引きや、梅田ロフト前のパフォーマーを例に出しているところが、まさに当時の大学生としての生活圏を感じさせる。そんな梅田ロフト(茶屋町)も2025年春には移転するということで少し寂しさも感じるものである。
さて、今回の日記は、ワルザザートからアトラス山脈を越えてマラケシュに到着するまでの日記であるが、何と言っても長距離バスで山道を行くということの苛酷さが一番に思い出される。(汚い話ばかりで恐縮だが。)
またいつかモロッコに行きたいと思ってはいるが、こういったモロッコ国内の長距離の移動が大変だよなあと思うばかりである。
マラケシュのフナ広場に夜到着したときの高揚感は今でも覚えている。マラケシュのフナ広場は本当に賑わっていて、写真もいろいろと撮れればよかったのだが、チップを要求されるということもあって、写真がないのが残念である。