エジプト革命から11年、、、風刺画から見る中東情勢#36
2011年1月25日にエジプトで当時のムバラク政権に対する大規模な反体制運動が起こりました。これはチュニジアをはじめとする当時のアラブ諸国で生じていた所謂 「アラブの春」運動でエジプトでは最終的にムバラクの長期独裁政権が終了しました。
これを記念して毎年1月25日前後にはエジプト革命にまつわる風刺画がSNSやニュースサイトでよく見かけます。
11年が経った今、エジプト革命について描かれる風刺画は悲観的なものが多いように思われます。すなわち11年が経った今であっても、現状は革命前と大きく変わっていないというメッセージを描いているものです。
ムバラク政権後には、一時的にムスリム同胞団出身のムルシー政権が誕生しましたが、その後すぐにシシ軍事政権となり、結局は独裁政権が現状も続いているのみです。国民の求めていた民主主義は未だ十分に達成されておらず、人々の生活に変わりはないのです。
そこで本日の風刺画です。ヨルダン出身トルコ在住の風刺画家アフマド・ラフマ氏の作品です。
出典:Twitter / @RAHMACARTOON / 20220125
革命を象徴する松明の火は消えてしまっています、、、。
松明には「1月25日革命」の文字。
松明から出ている煙は、当時の反体制デモのスローガン「パン」「自由」「社会的平等」です。
「パン」を表す単語、アラビア語でイーシュといいます。エジプトではパンを意味しますが、湾岸では米を意味します、というのも根本的に「生活・生計」という意味があり、動詞では「生活する」という単語になります。人々は生活の改善、よりよい生活を革命で求めましたが、政権が代わっても結局は生活水準の向上とはならず、むしろ物価の上昇などもあり(革命後から2017-2018年ころまでインフレが続いていた印象があります)、また現在っではコロナの影響もあるでしょう、未だ厳しい生活が強いられているのではないかと想像します。
革命の松明を持つ人の手は、包帯に血がにじんでおり、もうボロボロです。
火は途絶えてしまっているが、まだ松明を持つ手はおろしはしない、その点にすこしの希望が感じられるでしょうか、、、。
あるいは、、、下図の同風刺画家の作品のように、、
出典:Twitter / @RAHMACARTOON / 20220126
1月25日の革命の記憶ごと現政府に潰されてしまうのでしょうか。
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そういえば、上で見た、「パン」「自由」「社会的平等」ですが、当時のエジプトの革命ソングの中でも歌われております。
「パン」=イーシュ
「自由」=フッリーヤ
「社会的平等」=アダーラ・イジュティマイーヤ
この3つがサビになっているめちゃキャッチーな歌ですので、ぜひご覧ください。
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今日見たように、何らかの歴史的なメモリアルな記念日の前後には、それにまつわる風刺画が描かれることがよくあります。引き続きワッチしていきましょう。
それでは。