サウジ「頂上への決意」 風刺画から見る中東情勢 #16
2019年9月23日はサウジアラビアの建国記念日。今年は89周年でした。
(出典:Sahifah al-Makka 2019/9/23)
上の風刺画はサウジのメッカ新聞のサイトに載せられたものです。サウジの国章にもなっているナツメヤシの木、そしてその木に実っているのはサウジ建国89年の歴史です。
これは風刺画? なんの皮肉になっているの?と思うでしょうが、おそらくなにかを風刺している訳ではないでしょう。
アラビア語の新聞社や報道局のサイトには「カリカトゥール」というページがあることが多く、大抵そこには風刺画が掲載されています。しかし「カリカトゥール」と言う単語が、カリカチュアから由来しているように、「カリカトゥール」は風刺画だけを意味する訳ではなく、ただの漫画も意味するため、このように風刺画でないものも掲載されているのでしょう。
下はエジプトの新聞社「al-Youm al-Sabia」 のサイトに「カリカトゥール」として掲載されていた漫画です。これも風刺画ではなさそうで、むしろサウジへの賞賛や鼓舞を表しているように思います。(ちなみに、このサイトでは、サウジのリヤド新聞から引用した絵とされていましたが、リヤド新聞のサイトでは見つけられませんでした。)
(出典:al-Youm al-Sabia 2019/9/22)
この絵の右側には、今回の建国89周年のスローガンである「همة حتي القمة」が書かれています。「頂上までへの熱意」あるいは「頂上までへの決意」とも訳せます。
このスローガンにかんして、サウジ皇太子のムハンマド・ビン・サルマーンは「サウジアラビの国民の決意はまるで、トゥワイク山のようだ。その決意は、トゥワイク山が崩壊し平らにならないかぎり、打ち砕かれることはないだろう。」と述べたそうです。
ちなみにトゥワイク山とは、リヤドにある断崖のことで、長さは800kmにもおよび、高さは場所によって100〜600mあるそうです。
絵の真ん中にいるサウジの国旗をもったサウジ人がまっすぐとむかう「頂上」は、サウジが掲げるビジョン2030です。
9月23日は、ビジョン2030の実現を国民一体となって決意した、そんな建国記念日であったのでしょう。