遠隔コーチングの取り組み
こんにちは。
ライフル射撃のコーチの小山です。
大学生や社会人のコーチをしたり、
射撃のジャケットを修理したり、
射撃場を運営したりしています。
今日は僕が今、積極的に取り組んでいる
遠隔地でのオンライン指導についてまとめました。
Ⅰ.オンラインコーチ需要の増加
現在、移動規制のかかる県もある中、
需要が増えているのが「オンラインコーチ」です。
僕も先月は4件受けさせて頂きました。
中部のライフル射撃協会様のライフル選手や
関東のライフル射撃協会様の国体チーム、
東洋大学射撃部様のピストルチームなどなど。
東洋大学さんの方は僕がピストルは専門外なので
遠方の元日本代表の方をライブ配信でお招きして
アシスタントのような形で、
うちの射撃場(@JMShootingRange)で行いました。
実はLINEにビデオ通話機能が実装された頃、
仕事が忙しくて選手を見られなかった時には
ビデオ通話機能を使用して部員の練習を
見ていたこともあります。
今思えばもっと研究しておくべきでした。
Ⅱ.オンラインコーチのメリット
①移動時間のロスがない
第一にこれが挙げられます。
特にSB射場は概ね僻地が多いので
移動には2時間程度かかります。
この時間が非常に勿体ないです。
練習場のある大学さんが本当に羨ましかった。
②観察時間にロスがない
録画をしておけば指導を行いながら、
別画面で好きなタイミングに巻き戻して動作を確認したり
動画をキャプチャリングして
前のフローとの差異分析が行えます。
これは本当に便利です。
エラー分析の時間が極端に減ります。
③安価である
交通費や宿泊代などコーチ経費は
クライアント側としては大きいですが、
オンラインですと、その費用が浮くので
選手の活動費等に回すことが出来ます。
これは非常に大きいです。
勿論、安く見積もられてしまうのは
問題となる場合もありますが、
安全性や時間の有効活用といった
合理性の高さは両者にメリットがあります。
Ⅲ.オンラインコーチのデメリット
①リアルタイムの情報が分からない
選手の行動結果は外的要因も
大きく関わってきます。
例を挙げると射場の温度はどうか、
本人の疲労度はどうか、
風は吹いているのかどうか、
様々な要因が混ざり合って結果を左右します。
(知覚心理学におけるアフォーダンス的な情報)
これらの情報が現場にいない場合、
主に本人による申告が情報源で
天気情報なんかを調べたりして
状況把握をしていかなければなりません。
②距離感が掴みづらい
物質的な距離感が掴みづらいことも問題です。
特に骨格の観察や装備品の配置位置で
思うようなアプローチが出来ません。
(僕の技術不足もあります。。)
③アシスタントが必要である
カメラの位置調整はもちろんのこと
マイクの調整などにおいては
選手に任せるわけにもいかないので
アシスタントは必須となります。
銃口、引き金など
見たい箇所は沢山あります。
それらの調整役にアシスタントは
必要となってきます。
④通信環境が無ければ困難
根本的な問題ですが非常に大事です。
練習においては多少のラグがあっても
問題はなかったのですが、
映像や音声の途切れはかなりストレスです。
日本の射撃場はネット環境が整っている
場所の方が少ないので大きな問題です。
Ⅳ.オンラインコーチが可能な条件
現状としてオンラインでの個人への
ライブ指導が出来る条件は3つです。
①実際に指導したことのある選手であること。
②ネット環境が整っている。
③サポートしてくれるアシスタントがいる。
①はコミュニケーションや骨格比率、
筋肉の付き方などの情報が必要であるということ。
初対面で選手の考え方や体形などを観察するには
非常に不向きでした。
僕の技術がないことも差し引いても、
なかなか経験が必要な気がします。
事前のヒアリングシートなどを用意して
行っていくことで現状落ち着いていますが、
それでも初対面で顔を見られないのは
あまりいいことではないです。
②は大前提で会話もままならず
銃口の揺れなども観察できません。
その打開策としてSCATTの画面を
共有してもらいましたが、
スムーズに動かない場合、非常に苦労します。
③サポートしてくれるアシスタントは
カメラ位置の移動や音声が途切れるような
環境の場合、通訳としても必要です。
今回もいなかったら成立しませんでした。
しかし、誰でも良いというわけではなく、
何を意図して見ているのかを
詳細に伝えたり、コーチ(ぼく)の意図を
読み取りながら動かなければならず、
経験者が好ましく思います。
この3点が現状での条件ではないかと思いますが、
特にアシスタントとの意思疎通は
非常に大事だと思いました。
課題
現状としてライブで指導をするには課題が多いです。
動画配信のような一方通行なら楽なのですが、
現状としては普遍的な理論の中から
本人に合ったものを考えて伝えるしかないと思います。
一方で講習会や動画鑑賞には、
無類の強さがオンラインにはあります。
射撃と同じく、道具の使い方ですね。
現に講習会やIFの動画鑑賞を
強豪校ではしっかり取り入れています。
講習会が上手な人、現場が得意な人、
色々なタイプのコーチが日本にいますが
相手を理解しやすい状況がないと
どなたも苦戦しそうです。
その環境作りの雛形みたいなものがあれば
一番いいなと思っているので
今はネット環境についても少し勉強しています。
才能のある僻地の射手が日本中の
気になるコーチにアクセスできる
競技の環境になれば
国の競技力も上がると思うので
頑張りたいところです。
動きの少ないスポーツなので
有用な気がする遠隔コーチング。
まだまだ発展はありそうです。
それではまた射場で会いましょー。