クラブ設立と既存団体への配慮
こんにちは。
ライフル射撃のコーチの小山です。
大学生や社会人のコーチをしたり、
射撃のジャケットを修理したり、
射撃場を運営したりしています。
今日は来年度から始まる
J-MAGICのクラブについて
お話したいと思います。
先月、神奈川で行われた
全関東ジュニアで
パンフレットに記載して
多くのお問合せを頂きました。
皆様ありがとうございました。
そして掲載して下さった
神奈川県ライフル射撃協会の
大会運営の皆様、
本当にありがとうございます。
クラブ設立の背景
僕がクラブを設立したいのは
①コロナ禍での競技継続を促す
②教員や学生アスリートの負担減
③アスリートの雇用創出
という3つの理由があります。
①コロナ禍での競技継続を促す
今回、明確に設立を決めたのは
コロナ禍において競技を辞めたり、
諦めてしまう高校生が多かった事が
大きな決め手となりました。
多くの選手が高校から
競技を初めるのですが
大学進学後も続ける選手は
年々減少しています。
僕は学生の頃、スカウトとして
先輩に同行していたころは
継続する選手は沢山いたのですが
専門学校や短大に進学する
選択が徐々に増えてきました。
大学へ進学しても続ける選手は
体感的に10%程度です。
今後、さらに減ることは
目に見えているのですが、
少しでも歯止めをかけないと
仕事でやっている我々としても
死活問題になってきます。
②組織や家族の負担減
僕個人としては地域クラブによる
課外活動を応援しています。
僕の回りの射撃部の先生や
個人選手の保護者の方は
聖人君子みたいな人たちばかりで
休日は確実に返上していますし
本当に頭が上がらないです。
先生に関して言えば、
最初から射撃が好きで
先生になった方もいますが
多くの場合が未経験の先生で
休日に遠くの射撃場まで
学生を連れて行ったり
教習銃の所持の為に勉強したり
それこそ法に関わるスポーツの
責任を背負うのは
本当に大変だと思います。
競技に携わりたいから、
部活を持ちたいから、という理由で
学校の先生になるという選択肢しか
無かったというのは業界の
構造的な問題なのですが、
実際はそういった部活をしたいから
先生になった人たちで
業界が回っているので
なかなか難しいのが実情です。
安心して外に投げるような
仕組みさえあれば
誰も苦しまないのですが
そのロールモデルになれば
いいなと思ってます。
③アスリートの雇用創出
アスリートの雇用問題は
非常にナイーブな話題です。
例えば海外のサッカークラブは
多くのファンの支えと
サイドビジネスで成り立っています。
チケット売上、グッズの売上、
試合中の飲食費の売上、
サッカー教室の売上、
これらは見習うべきものがあります。
日本でも多くのクラブはありますが
実際はその土地や学校、組織で
所縁のある選手が集まって
試合に出るだけのイメージです。
これが非常に勿体ないと思っていて
そのメンバーで射撃の体験会や
射撃教室を開いたりと
もっと発展性はいくらでもあって
クラブの年会費や後援費、
グッズの販売などにも踏み切れるので
そこまで体系が完成すれば
クラブには職業としての
射撃のコーチやトレーナーさんなど
人材の雇用も叶うと思ってます。
非常に専門性の高いスポーツです。
付随する職業はやはり、
競技経験者が好ましいです。
勿論、現実的に難しい部分も多いです。
最終的には個人に
スポンサーがつくところまで
昇華出来れば事業としては
大成功だと思っています。
そもそも射撃のファンが日本に
存在しているのかも問題です。
今の時代、アスリートが
SNSを活用せずに
競技に興味を持つ人を増やしたり
ファンを作ることは難しいです。
(その点、滋賀県のダイハツさんは
本当に素晴らしいですね!)
1人の選手に1000人のファンが
毎月500円を支援してくれれば
活動出来るスポーツです。
会員の7人に1人が応援したいと思う
素晴らしい選手を育成したいです。
クラブは親殺しになるか
クラブ設立に当たって
頭を悩ませている問題があります。
それが「親殺し」です。
新しい選択肢としての
クラブ設立は良いことだと
思っていますが、
既存の学校組織と競争することが
どう思われるかです。
例えば、関東に進学した高校生が
うちのクラブ所属となって
大学試合に出た場合は
今、コーチを務めている
東洋大学さんと戦うことになります。
ビジネスとしてクラブ経営をする以上、
こっちに手を抜くことはありません。
ビジネスとボランティアでは
心構えも違うので
母校だろうが関係ありません。
高校生が来ても
大恩ある栄北高校と競ることに
なってしまいます。
この辺りの配慮に欠けると
先ほどまでの理想論はおろか
途端に立ち行かなくなると思うので
難しいなと思っています。
問題の予防
クラブの設置に関しては
予め想定する問題に対して
対策しなければなりません。
クラブへの入会は
所属組織に射撃部がない選手に
絞っても良いと思っています。
(例)東洋大学の学生は
東洋大学体育会射撃部があるので
クラブには入れない。
社会人でもクラブとして
一緒に練習出来る仲間が
いると良いですよね。
あと安全講習は必須です。
そもそも想定する選手が
個人で活動している選手に
絞られることになりそうなので
当然、こちらで用意が必要です。
このスポーツを行う上で
最も必要なことなので
出来ればもっと上位団体に
お願いしたいところです。
そしてクラブの方向性。
僕は日本一や世界を目指す人を
対象にして指導をしてますが
それが本当に方向として正しいのか、
もっとコミュニティに近いもので
やったほうがいいのではないか、
そんなことを考えています。
他にも多くの問題を想定していて
その改善策を考えているので
その部分もしっかり押さえつつ
より良い環境を作っていきたいです。
まとめ
射撃は只でさえ人口の少なく
継続に自由な選択肢が
なければならない競技です。
本当は続けたかった、
スカウトに声を掛けられず
落ち込んで競技を離れた、
そんな選手も多かったのかなと
僕は思っています。
気持ちのある選手を
取りこぼすような業界で
あって欲しくないです。
続けていく為の選択肢が多いほど
仲間が残ります。
プロの価値が上がります。
付随する業界の仕事が成り立ちます。
射撃はとても楽しいスポーツで
僕はとてもお世話になったので
少しでも力になれたらと思ってます。
それではまた
射場で会いましょー。