雨季に集団で孵化するスッポンモドキ
今回はペットとして人気があるスッポンモドキ(Carettochelys insculpta)の不思議な孵化についてです。
スッポンモドキはニューギニアやオーストラリアに生息するカメで、スッポン類と同様に甲板がなく、吻端はブタのような形状をし、前肢はオール状になっているといった独特の形態をしています。
本種は他のカメと同様に、地面に穴をほって卵を産みますが、孵化に関しては他のカメと大きく異なります。
卵の水没が孵化の鍵
スッポンモドキの卵は、産卵巣が浸水し、酸素供給量が低下することで孵化が促進される、といった不思議な特徴があります。以下の動画にあるように、卵を水中に沈めるとすぐさま卵にひびが入り、元気な幼体が孵化してきます。
そのため、野外では雨季の雨やそれに伴う水位の上昇によって、スッポンモドキの孵化が促進されていると考えられています。
胚の振動がさらなる孵化を促進する
また、同じ産卵巣で孵化した他の個体が発する振動を利用し、他の卵が同時に孵化すると考えられています。これは豪雨によって産卵巣が水没してしまう中で(カメ肺呼吸なので息継ぎが出来なければ溺死してしまう)、孵化及び産卵巣からの脱出までの時間を短縮することによって、兄弟の生存率を高める利点があるのではないか、といったことが推察されています。
スッポンモドキの不思議な孵化現象の詳細は、以下の動画や参考文献をご覧ください。
参考文献
1. スッポンモドキに関する総説
2. スッポンモドキの繁殖生態
https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1096-3642.1986.tb00646.x
3. 孵化幼体の産卵巣から脱出
4. 同期孵化(synchronous hatching)に関する実験
ではでは~
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