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【展評】
黒岩正和写真展「島魂」 ―TOUKON―(2025.1.17-2.6|富士フイルムフォトサロン東京)

 和歌山県出身の黒岩正和は、テレビに映る猿岩石のヒッチハイク旅に憧れ、18歳から野宿で東南アジア各国を放浪した。21歳の時に偶然出会った島の祭りに魅了され、日本の島を撮影し始めることになる。それから二十数年、硫黄島を除く日本の有人島すべてを訪れ、訪島数のべ1,600以上、島の祭りは400以上を撮影してきた。

 展示された50点は、島の生活のなかで、大切に受け継がれている祭りの数々。黒岩は島の祭りにいきなり訪れて撮影する、といったことをせず、まずは島人たちとのコミュニケーションをとってから、祭りの日に再び訪れるのだという。そうした地道な努力を積み重ねて、決定的とも言える祭りのシーンに漕ぎ着けるのだろう。近年は少子化による担い手不足、コロナ禍により、存続が危ぶまれる祭りも多い。そんな現状を目の当たりにし、黒岩は島々の撮影に使命感を抱くようになった。祭りにおける人々の活気に「島の魂」を感じ、島独自の文化や風習、島人の魅力になお惹きつけられるという。

 同時期に刊行された写真集『百島百祭』(光村推古書院)では、厳選された77の祭りを収録。写真ページの間に黒岩の言葉で撮影時の様子が記され、巻末には祭りの実施時期や由来などがまとめられていて、写真とあわせて島々の祭りのエピソードが楽しめる。

レビュアー:村上仁一


富士フイルムフォトサロン若手写真家応援プロジェクト

【写真家たちの新しい物語】

黒岩正和写真展「島魂」 ―TOUKON―

会期:2025年1月17日(金)~2月6日(木) 
会場:富士フイルムフォトサロン 東京
関連リンク:https://fujifilmsquare.jp/exhibition/250117_03.html
巡回展
会期:2025年2月21日(金)~2月27日(木)
会場:富士フイルムフォトサロン 大阪 ホワイエ
関連リンク:https://www.fujifilm.co.jp/photosalon/osaka/25022103.html


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