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【展評】濵口京子 「Worship in Progress」(2025.1.10-2.15|KOKI ARTS)

 壺の画像と真っ黒なキャンバスが並べてかけられている。この二点から関係性を見出すのは難しいだろう。しかし、目を凝らせばキャンバスにうっすらと何かが描かれているのが見える。壺が描かれているのだ。真っ黒になるまで執拗に描かれている。隣に展示してある壺の画像は、壺を描いている制作過程をピンホールカメラで写した記録写真なのだ。

 それにしても壺の画像はまぎれもなく「写真」なのに写真のように見えない。時間が目に見える層になっている様はほとんど嘘のように見える。普段、我々はこんなにくっきりと時間の区切りを目にすることがないから。ただ漫然と過去から来て未来に去っていくただなかにいるだけなのに。

 作家は壺を「焼く」行為を写真を「焼く」行為になぞらえている。窯の中でちりちり焼成され粘土から壺になっていくように、作家の筆運びの記録が線から画像に変換されていく。二つの時間の流れが鑑賞者の目の前で一つの作品に結びつくような作品だった。

レビュアー:飯島モトハ


濵口京子 「Worship in Progress」
会期:2025年1月10日(金)〜2月15日(土)
会場:KOKI ARTS
関連リンク:https://www.kokiarts.com


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