ブラームス交響曲第4番
こんにちは。
クラオタくんです。
今回は演奏会用に寄稿した曲解説をこのnoteでも公開します。
曲はブラームスの交響曲第4番です。
ブラームス交響曲第4番 ホ短調 op.98 (ブラ4)
本作品はブラームス後期の特徴である厭世的色合いが強い。2楽章の教会旋法や終楽章のバロック時代の舞曲形式パッサカリア(シャコンヌ)など擬古的な様式が目を引く一方、1楽章の主題ではシェーンベルクの「12音技法」に近いブラームスの進歩的な一面が垣間見える。短調に始まり短調に終わる構成は、ベートーヴェン以来の短調から長調へ向かう「闇から光へ」よりもむしろブラームスが得意とした変奏曲という円環の世界観の中にある。交響曲第4番は各楽章の要素が互いに関連し合うことで全体として極めて複雑かつ難解な構造をとる。この「関連性の魔術」がありながら聴き手側では常に美しさが失われない、稀有で底の知れない曲である。
第1楽章
Allegro non troppo ホ短調
冒頭から現れる主要主題は3度の下降からなり、厭世的な色彩が濃い。この音列は和声的短音階のすべての音を重複なく使い切っており、コンセプトとしてはシェーンベルクの「12音技法」に限りなく近い。ブラームスの進歩性が伺える。
第2楽章
Andante moderate ホ長調
基本調はホ長調だが、前奏と後奏のホルンの旋律に教会旋法のフリギア旋法が使われている。和声の書法は特に素晴らしく、後奏でオーケストラのホ長調とホルンの旋律でのホ音のフリギア旋法を溶け合わせる手腕は素晴らしい。
第3楽章
Allegro giocoso ハ長調
通常のスケルツォの形式をとっていないが、実質的なスケルツォ楽章である。主題のおどけた性格や色彩感のあるオーケストレーション、逸脱した拍節法は、まさにgiocoso(ジョコーソ: おどけて、滑稽に)という言葉がふさわしい。
第4楽章
Allegro energico e passionate ホ短調
バッハのカンタータ第150番『主よ、我は汝を求む』(BWV. 150)終曲のバス主題に基づいてパッサカリアの変奏形式で書かれている。パッサカリアの使用は多くの実験を経て《ハイドンの主題による変奏曲》(op. 56)から本楽章へと派生した。変奏曲形式とソナタ形式の融合と解釈することもでき、形式の枠組みを保ちつつ内側から解体し再構築することでブラームス独自の境地へと至っている。
参考
音楽之友社スコア
ブラームス (作曲家・人と作品シリーズ) / 音楽之友社
ブラームス 作曲家別名曲解説ライブラリー 7 / 音楽之友社
実践!作曲・アレンジに活かすための モード作曲法
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