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【クラオタくん×メリオケ】ストラヴィンスキーの《かるた遊び》、衝撃の事実…!!

 メリオケ演奏会プログラムノートの試し読みシリーズ第2弾です。
 今回は2曲目でお送りする、

イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲 バレエ音楽《カルタ遊び》 

の試し読みです。


I. ストラヴィンスキー
バレエ音楽《カルタ遊び》 “三番勝負のバレエ” K059

Igor Stravinsky
Jeu de Cartes “Ballet et trois donnes” K059

 《カルタ遊び》はストラヴィンスキーが1936年に作曲した、全3幕からなるバレエ音楽である。邦題の《カルタ遊び》は原題Jeu de Cartesに従ったものでやや誤解を与えやすいかもしれない。英訳ではCard Game(カードゲーム)で、つまりはトランプのポーカーゲームのことである。本作には”三番勝負のバレエ”という副題が付いており、ジョーカーを主役としたポーカーの三番勝負が全幕を通じて描かれる。
 カードテーブルに見立てた舞台で、ダンサーたちは擬人化したトランプに扮して勝負が進んでいく。勝負の鍵を握るのはジョーカーである。勝負は毎回ディーラーによるシャッフルで仕切り直され、その様子は同じ序奏によって描かれる。ジョーカーは自分自身を思い通りのカードに成り代わることができる無敵のカードだと思っているが、第1ラウンドでは勝負がつかず第2ラウンドで最終的にジョーカーが勝利する。第3ラウンドではジョーカーはスペードのカードを率いて勝利していくが、結局ハートのロイヤル・ストレート・フラッシュに負けてしまう。最後にディーラーの手が現れ、すべてのカードがテーブルから持ち去られて幕を閉じる。というのが、初演時(1937年)のストーリーである。一方、振付師クランコの振り付け(1965年初演)では、第3ラウンドでジョーカーがロイヤル・ストレート・フラッシュを実現して勝利し、得意になってみんなを従えて踊り回る。最後にジョーカーが別のカードのうしろから顔を出し、また次のチャンスを狙っているところで終わる。

第1幕: 第1ラウンド(Première donne)
 序奏
 パ・ダクシオン
 ジョーカーの踊り
 ワルツ
第2幕: 第2ラウンド(Deuxième donne)
 序奏
 ハートとスペードの行進曲
 クイーンの5つのヴァリエーション
 コーダ
 行進曲
 一同の踊り
第3幕: 第3ラウンド(Troisième donne)
 序奏
 ワルツ
 スペードとハートの戦い
 最後の踊り・ハートの勝利

 本作はストラヴィンスキーの新古典主義時代の作品にあたる。彼は時代ごとに作風を変えたことでも知られる作曲家であり、それぞれ原始主義時代・新古典主義時代・セリー主義時代に大別される。原始主義時代は三大バレエ(《火の鳥》・《ペトルーシュカ》・《春の祭典》)で知られるように、リズムの解放を行った。新古典主義時代は《プルチネルラ》や《兵士の物語》のように先人の作品や通常使用されない旋律をコラージュしたりパロディ的にパッチワークする技法を用いた。このコラージュの技法は、ストラヴィンスキーの親友であり同じく時代ごとに作風を変えた画家パブロ・ピカソのコラージュ技法にも極めて似ていることは興味深い。二人は「空前絶後の最強のバレエ団」と呼ばれたセルゲイ・ディアギレフ主宰のバレエ・リュスでバレエ《プルチネルラ》を音楽・舞台芸術で共作している。

今回の試し読みはここまで!
かるた遊び = ポーカーゲーム のことだったんですね…!
ストラヴィンスキーとピカソが同じバレエ団で共作したり、仲が良かったことはご存知だったでしょうか?コラージュのアプローチが似ているところもなかなかおもしろいですね。
この後は、

☑ストラヴィンスキーが新古典主義時代にコラージュ技法に傾倒した理由
☑ストラヴィンスキーがこの時代に音楽の未来をどのように考えていたか
☑《かるた遊び》に仕掛けられた仕掛け


などについてエッセンスを解説しています。
この後の方がもっと『衝撃の事実』感がありますよ!
是非、演奏会に読みに来てください!

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今回のストラヴィンスキーの解説を読むに当たり、下記の書籍も合わせて読むとより理解が深まります。

西洋音楽史: 「クラシック」の黄昏 (イチオシ)
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