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GPT Storeをいろいろ使ってみた ~ビジネスにも使えるGPT~

研究開発本部 吉田茂人


はじめに

GPT Storeは、OpenAIによって先月1月10日に公開された、カスタムAIアシスタントを作成、共有できるプラットフォームです。これは「AIのためのApp Store」とも称され、ユーザーが特定のニーズや興味に合わせたGPT(Generative Pretrained Transformer)を簡単に作成できるようにすることで、AI技術のパーソナライゼーションとアクセシビリティを大幅に向上させています。このプラットフォームは、教育、プログラミング、生活スタイル、研究、アートなど、さまざまなトピックに焦点を当てたアシスタントを特集しています。OpenAIによると、発表後わずか2か月で、ユーザーは既にのべ300万以上のカスタムアシスタントを作成しているとも言われています【1†】【2†】。

またGPTを紹介する非公式サイト「GPTstore.ai」【3†】においては、2月20日の時点で、3万件を超えるGPTが登録されており、そのジャンルも多岐に渡っています。およそ2億件もの学術論文から検索し、科学的な根拠に基づいて回答してくれる「Concensus」や、ニュアンスを色々伝えるだけで様々なイメージを出力できる「image Generator」あたりが特に人気のGPTです。
なお下記に多数紹介しているGPT StoreのURLは、Chat GPT無料プランの場合、ヘッダまでしか確認できません。何とぞご容赦下さい。

GPT Storeの使い方

まずStoreに公開されているGPTの使い方について触れますが、実に至って簡単です。左のメニューの「Explore GPTs」を選択し、右のウインドウにある検索バーに取り組みたい事柄のキーワードを入力すれば、すぐに使用できます。Chat形式でやり取りしていくので、それぞれのGPTのコツさえつかめば、誰でも使用可能です。

Top ページから左のメニューバー「Explore GPTs」を選択するだけ
出典:ChatGPT

また、オリジナルのGPTを作ってStoreにアップロードすることも至って簡単です。右上の「+Create」をクリックするとGPT Builderが起動しますが、こちらもChat形式で作ることが可能です。いわゆる「ノーコード作成」ってやつです。やりたいことを入力すれば、GPT Builderがアイコンやタイトルなども作成し、簡単に登録できます。

右上の「+Create」をクリックするとGPT Builderが立ち上がります。
出典:ChatGPT

OpenAIはまもなくGPTの収益化プランも発表することになっており、利用者が多いGPTに関してはOpenAIがインセンティブを支払う形になりそうです。もしかすると「プログラミング知識ゼロの小学生が、オリジナルのGPTで大儲け」というような成功例も出てくるかもしれませんね。


おすすめのGPT3選

人気のGPTは他でも多数取り上げられているので、ここでは、あまり他では取り上げられていないものの、日頃、私がレガシーな手法で行っている業務に着目し、「タイパ」的にも実際の業務に大いに役立ちそうなGPTをいくつか紹介します。

1)Innovation Creation Idea Studio(アイデア発想)@TAKAYUKI SUZUKI

タイトルの通りアイデア創出を目的としたGPT。2月20日現在、まだ30件ほどしかダウンロードされていないのですが、アイデア創出において、5W1Hのアプローチでアイデアのターゲットをあぶり出し、最終的にはそのソリューションのアイデアも提案するように仕上がっており、非常にクオリティの高いGPTです。


今回は「効率よくゴミをすくえる「ちりとり」を作りたい」をスタートに、アイデア創出を試みました。

効率よくゴミをすくえる「ちりとり」を作りたい

効率よくゴミをすくえる「ちりとり」のアイデアを考えるプロセスを始めましょう。

STEP1: Who, Where, When
Who
: 家庭を持つ主婦・主夫、清掃員、オフィスワーカー
Where: 自宅、オフィス、公共の場
When: 掃除の時間、日常のちょっとした清掃時、大掃除の際

STEP2: シナリオ作成
家庭を持つ主婦・主夫が自宅で日常のちょっとした清掃時に使用
・清掃員が公共の場で大掃除の際に使用
・オフィスワーカーがオフィスで掃除の時間に使用
・家庭を持つ主夫が自宅で大掃除の際に使用
・清掃員がオフィスで日常のちょっとした清掃時に使用

STEP3: ペルソナとシーンの組み合わせ
「効率的に」清掃員が「広い」公共の場で「定期的に」掃除をする際
・「手軽に」家庭を持つ主婦・主夫が「狭い」自宅で「急に」ゴミが散らかった時
・「迅速に」オフィスワーカーが「忙しい」オフィスで「毎日」の掃除の時間に

 

それぞれを選択するように回答していった結果・・・↓

○ 新しいソリューション
「迅速に」オフィスワーカーが「忙しい」オフィスで「毎日」の掃除の時間に対応するため、スマートセンサーとエルゴノミックデザインのハンドルを搭載した新しいちりとりを開発します。

このちりとりは、スマートセンサーを活用して、ゴミの種類や位置を自動で検知します。この情報をもとに、最適な掃除方法を提案し、オフィスワーカーが短時間で効率的に掃除を行えるようにサポートします。

例えば、紙くずや食べかすなど、異なる種類のゴミに応じて、ちりとりの開口部を自動調整し、ゴミを一度に集めやすくします。
また、エルゴノミックデザインのハンドルは、長時間の使用でも手や腕への負担を軽減します。ハンドルの形状や材質は、握りやすさと快適な使用感を追求し、オフィスワーカーがストレスなく掃除を続けられるように設計されます。

この新しいちりとりは、使用後の清掃や保管が簡単であり、オフィスのどこにでも置いておけるコンパクトさも兼ね備えます。オフィスワーカーが毎日の掃除を「迅速に」行いたいというニーズに応え、忙しいオフィス環境でも清潔と効率を保つことを可能にします。

 

こんな質問に対しても真摯に回答してくれるGPT。さすがです。

2)みんなでブレスト! @pi-paru

こちらは各専門家を名乗るAIが、課題に対してそれぞれの専門家の立場でブレインストーミングを繰り広げます。切り口が多様なので意見が偏らず、利用者はこれらの意見を参考に、どの意見を取り入れるかというものなので、まさにブレインストーミングという名にふさわしいGPTです。こちらも2月20日現在、まだ30件ほどしかダウンロードされていませんが、先ほどのInnovation Creation Idea Studioと同様、なかなか秀逸なGPTだと思います。


今回は「30人の職場だが、毎朝の職場掃除はいつも決まった数名の従業員で実施している。全員の従業員が公平に掃除をするためにどのように運用すればよいか?」というお題の下、ブレインストーミングを実施してみました。
設定はこんな感じ

 AIメンバー 4名の役割

  • 人事管理の専門家

  • 効率化を専門とするコンサルタント

  • コミュニケーション専門家

  • ITシステム専門家

掃除当番決めるためだけなのに、なかなかの専門家揃いですが、各専門家が出した案はこんな感じです。

1.人事管理の専門家からの提案
ローテーション制度の導入: 従業員を数グループに分け、週替わりや月替わりで清掃担当をローテーションする。これにより、全員が平等に清掃業務に参加することが保証される。
清掃ポイント制: 清掃業務に参加した従業員にはポイントを付与し、一定期間ごとにポイントに応じた小さな報酬や特典を提供する。これにより、モチベーションを向上させる。

2. 効率化を専門とするコンサルタントからの提案
清掃エリアの細分化: 職場を小さなエリアに分け、それぞれのエリアを担当することで、負担を軽減し、清掃の効率を上げる。
清掃ツールの改善: 効率的な清掃ツールを導入し、時間を短縮し労力を減らす。例えば、高性能な掃除機やモップの使用。

3. コミュニケーション専門家からの提案
清掃の意義と重要性の共有: 定期的なミーティングを通じて、清潔な職場がもたらすメリットと、それによって生まれるポジティブな職場環境について共有する。
フィードバックの機会: 清掃業務に対するフィードバックを収集し、改善策を検討する。従業員が積極的に参加しやすい環境を作る。

4. ITシステム専門家からの提案
清掃スケジュール管理アプリの開発: 従業員が自分の清掃スケジュールを確認でき、変更があった場合には通知を受け取れるアプリを開発する。
オンラインでの清掃活動の記録: 清掃が完了したことをアプリ上で報告し、他の従業員もそれを確認できるシステムを導入。透明性の向上と責任感の促進を図る。

 

この中から、「清掃ポイント制とオンラインでの清掃活動の記録を採用したい」を指示したところ、議事録も作成してくれました。下記はその一部です。

実施計画
・清掃ポイント制の詳細設計:
 ポイントの基準と報酬システムの設定。
 全従業員に対するシステムの説明と透明性の確保。
・オンラインでの清掃活動の記録システム開発:
 専用アプリケーションまたはウェブシステムの開発。
 清掃活動の記録と報告方法の確立。
・トライアル期間の設定とフィードバックの収集:
 トライアル期間を設け、制度の問題点や改善点を洗い出す。
 定期的なフィードバックの収集と制度の調整。

 

初期のプロンプトの時点で敢えて否定的な意見を述べるAIも追加できたり、他の専門家の観点も追加できるなど、自由度も高い設計になっています。実際に業務でブレインストーミングを行うことがよくありますが、どうしても同じようなスキルメンバーでの実施なので、あまり参考にならなかったケースもありましたが、このGPTの意見も組み合わせることで、より内容の濃いブレインストーミングが展開できるのではと思います。

3)Project Manager @sebastian castaño

こちらはその名の通り、プロジェクト管理を行う上で、各ミッションを明確化し、マーメイド記法によるガントチャートもあっさり作ってくれる優れモノGPTです。こちらのダウンロード数は1000件オーバーと既述のGPTよりもダウンロード数が多いのですが、これを模したGPTも多々上がってきています。

今回は、職場の大掃除プロジェクトを立ち上げるにあたってのプランを組んでもらいました。


プロジェクトの目標設定
 目標:職場全体を清潔に保ち、整理整頓することで、作業効率と従業員の満足度を向上させる。

タスクの洗い出しと分割
 プロジェクトを以下のようなタスクに分割します。

・事前準備(2月20日)
 清掃用品と整理用具の準備
 清掃エリアの確定とチーム割り当て

・オフィスエリアの清掃(2月21日 - 2月23日)
 デスク周りの整理整頓
 共有スペースの清掃
 会議室の清掃

・倉庫・ストレージエリアの整理(2月24日 - 2月25日)
 不要物の選別と廃棄
 備品の整理とラベリング

・電子機器のメンテナンス(2月26日)
 PCやプリンターの清掃
 電子機器の配線整理

・共有キッチン・休憩エリアの清掃(2月27日)
 キッチン機器の清掃
 休憩エリアの整理整頓

・最終チェックと調整(2月28日)
 全エリアの再確認
 必要に応じて追加の清掃や整理

・プロジェクトのクローズ(2月29日)
 成果の評価
 反省会とフィードバックの収集

 

他にも役割分担などの項目も追加できるようになっています。

とりあえず上記でマーメイド記法に準じたガントチャートを依頼すると、解析に1分ほどかかりますが、労せずコードを出力してくれます。

マーメイド記法に準じたガントチャート
出典:ChatGPT

さらにMarmeid live Editor【4†】でガントチャート作ってみたところ、あっさり完了。

ガントチャート
出典:Marmeid Live Editor

といったところでビジネスにも役立ちそうなGPTが他にも多数あり、「タイパ」を考えても、大いに活用すべきですね。

まとめ


GPT Storeは、AI技術をよりパーソナライズされ、アクセスしやすくするための強力なステップです。OpenAIのこの新しいイニシアティブにより、開発者、クリエイター、一般ユーザーは、特定のニーズに合わせてカスタマイズされたAIアシスタントを作成し、共有し、そして間もなく収益化する機会を得られます。これにより、AIの民主化が進み、個々のユーザーがその可能性を最大限に引き出せるようになることが期待されます。

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・・・・と、まあここまで書いてきましたが、実はこの記事、GPT Storeにある「自動ブログ記事作成」@ITNavi で草案を作ったものになります!(汗)

上記のおすすめ3件GPTに関しては私がピックアップしたものなので、その項目以外は、「自動ブログ記事作成」の草案を7~8割方採用しました。実際のところ、言い回しや信憑性確認等、出来上がった文章をそのまま使うことはできませんが、引用元リンクなども自動的に貼り付けてくれるなど、予想以上に高機能で、文才のない私でも、いとも簡単に記事を作成(?)することができました。

このように、ビジネスへのGPT Storeを活用は、非常に効果的であることが判りましたが、簡単にGPTを使いやすい一方で、脆弱性については、まだまだ不安要素がぬぐえません。例えば、GPT登録時、プロンプトインジェクション(AIに対して特殊な質問を入力することにより、AI開発者が想定していない結果を引き起こし、チャットボットが保有する機密情報や公開すべきでないデータを引き出す手法)の対策も施しておかないと、簡単にコピーできてしまう仕様のため、GPT Storeには、全く同じGPTが散見されるのが実状です。またGPTを使う側としても、GPT製作者の悪質な埋め込みコードによって、入力データが漏洩しないとも限りません。すなわち、導入のしやすさは、脆弱性と表裏一体でもあるので、機密情報などを扱うようなケースにおいては、まだまだ留意しなけれならないことも多いのも事実です。

以上、OpenAIが提供するGPT Storeについて紹介しましたが、昨今、複数の企業や大学、研究団体がエッジLLMについて発表されています。エッジLLMは少ないパラメータ数ゆえに、GPTのような万能な回答は難しいですが、逆に専門ジャンルに特化したLLMにカスタマイズすることで、エッジデバイス特有の低消費電力、高セキュリティ性を特長とした活用が期待できます。
今後、エッジLLM用のStoreサービスも展開されていくのではと期待している今日この頃です。


参考URL
1†:https://techcrunch.com/2023/11/06/app-store-for-ai-build-your-own-gpt-and-sell-it-on-openais-gpt-store/
2†:https://www.artificialintelligence-news.com/2024/01/11/openai-launches-gpt-store-custom-ai-assistants/
3†:https://gptstore.ai/
4†:https://mermaid.live/

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